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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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ヒラリー・ハーンに出会いました。

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今朝も走りました。

4月に入ってランニングは

Tシャツと短パンになりましたが、

ノースリーブになるには

まだはやそうです。



連休中は製図室に

こもってひたすら図面を書く予定です。

(もしかしたらそのうちの

一日ぐらい製図室の本棚を

自宅の作業場でつくるかも

しれないのですが・・)

図面を書きながらの

CDも最近では新鮮味に欠けてきたので、

一昨日の夕方、

横浜のレコード店に行きました。

知らない曲を買って

失敗することがとても多いのですが、

(作曲家の名前は知っていても

横文字の曲名や音楽の専門用語を

読んでもさっぱり意味がわからないのです・・)

まぐれ当たりを覚悟で、

頼りない勘を働かせるか、

どこかの記事で読んだ記憶を

たどってCDを探すのです。

今回は、

ヴァイオリニストのヒラリー・ハーンと

ピアニストのグレン・グールドの

二枚を買いました。

ちなみに横須賀線で

横浜に向かう車中で

本当に久しぶりにCDウォークマンを

聞いてみました。

作曲家はエドヴァルド・グリーグ。

この人の曲を聴いていると

行ったこともないノルウェーの

自然が目に浮かんできます。

特にヴァイオリン・ソナタ第3番~第2楽章を

聞いているとピアノとヴァイオリンの

美しいハーモニーにため息が出るほどです。



さて翌朝、製図室に入り、

コンポにヒラリー・ハーンのCD

「バッハ:無伴奏ヴァイオリンの

バルティータとソナタ(1997年録音)」を

コンポに差し込むと、曲が流れはじめました。

その瞬間、僕はいままで経験したことないような、

衝撃を感じました。

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ヒラリー・ハーンのヴァイオリンの

音色が流れたとたん、

製図室の空気が

一瞬にして入れ替わったような

錯覚に落ちた。

例えば森の礼拝堂の中の

神聖な透きとおった空気感

とでも言おうか。

あるいは朝もやの海に、

か弱く、鋭く、強い太陽の光が

差し込んだときのように。

いずれにしても音楽には、

ほとんど詳しくない

僕の今までの経験の中で

ヒラリー・ハーンとの出会いは

衝撃的な出来事として

忘れることはないだろう。

しかしどうして18歳の彼女が(当時)、

このように深く、重く、

音が宙を舞っているように

軽やかに弦を奏でることができたのだろう・・・。



そして、こうして僕は製図版の上で、

ペンの動きが止まり

身体が凍りついたように

ヒラリー・ハーンを

聞き入ってしまっているのでした・・・。

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by y-hikage | 2015-04-30 12:20 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

例えば椿姫の序曲

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今朝、

ひさしぶりに海辺を走りました。

とても気持ちいい風が吹いていました。

ところで

弦の音色がとても好きなので、

図面を書いているときは、

ずっとクラシックを聴いています。

(ただエスキスなど

クロッキー帳に向かいながら

考えているときは、

音楽はいっさい聞けません。

思考が乱れるので・・・。)

音楽はジャンルを問わず、

すべて好きです。

身体にあえば・・。・

例えばほんの一例ですが、

ヴァイオリンの美しい音色で

好きな曲は、

ヴェルディの

歌劇「椿姫」~第一幕前奏曲。

この曲をはじめて聞いた時、

ヴァイオリンは時間と空間を

自由にあやつる

魔法の杖だと思いました。

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by y-hikage | 2015-04-17 12:16 | 朝RUNの風景 | Comments(0)

昭和の洋館・・空間的復元

先日「雑木林の家」という

2005年に完成した小さな家を記事にして、

過去の仕事を

振り返ることも勉強になると思いました。

いつも前を向いて全力で設計していますが、

その意識は前から変わらないものだし、

その時々で残してきたコンセプトや手法が、

時間が経過した今、

とても新鮮に感じることを知りました。

というわけで日日日影新聞では時々、

過去の仕事を記事にしてみることしました。

今回は、1995年5月に完成した

「昭和の洋館」です。



浦和の駅近くに建っていた

昭和6年建築の和洋折衷の洋館は、

様々な理由で壊されることになり、

親族の一人がせめてドア一枚でも

残したい。

そんなような相談を受け、

隣町の与野市に移築したものです。

既存の家は60坪弱の広さがありました。

正面が洋館の意匠で設計され、

その奥に和風の座敷が連なる家でした。

(いわゆる洋館付和館)。

移築する敷地は100坪ほどありましたが、

30坪の平屋が建ち、

大きな栗の木も立っていました。

この平屋と栗の木を残すことが

設計の条件になりました。



移築再生は、

基本的な間取りと架構を、

崩さずにおこなうことが一般的です。

しかし敷地条件が全くちがう場合は、

その方法は許されません。

そして

この時に考えたのは

「空間的復元」という方法でした。

この言葉はその時に思い浮かび、

「空間の粒子」という言葉も

同時に思いつきました。

この方法を一言で表すと、

「まったくちがった空間なのに、

以前と同じ場所に居るように思える」

ようにすることです。



「昭和の洋館」は、

移築前の洋館を構成する部材たちを

大ばらしで一旦解体し、

解体した部材にあわせて平面を考え、

考えられた場所に

解体した部材たちを散りばめました。

古い部材だけで足りない部分は、

古い意匠に調和するように何気なく付け加え、

どこが古いのか新しいのか

わからないようにしました。



既存の建築を

いったん解き(ほどき)、再編する。

以前、漂っていた空間の粒子が

より濃密に、新しい空間に漂い、

まるで以前よりも以前に変化する。

この方法を「空間的復元」と呼んだのです。



建坪が18坪ぐらいの小さな

「昭和の洋館」が完成し、

以前の家族がこの家に遊びにきました。

テーブルでおしゃべりをしていたら

「なんだ、前と全然変わらないじゃない」

と言いました。

そして

僕はこの時、心の中で

「うまくいったかもしれない・・。」

とつぶやいたのでした・・・。
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写真は、建築写真家 畑亮さんです。


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by y-hikage | 2015-04-10 15:01 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

台の家の造作工事がはじまりました。

台の家の造作工事が

いよいよはじまりました。

1階は洋館のイメージなので

造作の材料は全てラワン材です。

2階は和洋折衷の洋館の中の

和館部分のイメージなので

真壁として材料は杉を選びました。

台の家は、造作と建具の意匠が

かなめなので、

これからが本格的な仕事になってきます。

外回りがガラス戸でふさがれていないので、

まだ開口部まわりがブルーシートで覆われています。

カラー写真にすると青の世界なので、

今回もモノクロの写真としました。
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1階の居間の様子。

天井に化粧根太が取り付けられました。
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2階の寝室の様子。

屋根勾配なりの勾配天井としました。
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2階の和室も寝室と

同様に勾配天井です。

工事の進行が楽しみな現場です。
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by y-hikage | 2015-04-09 10:32 | 台の家 | Comments(0)

小さな家

ちょうど二か月前の雨の日。

そしてやはりちょうど10年前に完成した

東村山市の

「雑木林の家」をひさしぶりに訪ねました。

現在、基本設計中の家の建主さんが

ぜひ見学したいという希望を

実現するためでした。
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「雑木林の家」はとても小さな家です。

なぜ雑木林の家かというと、

すぐ南に雑木林があるからでした。

完成したころは、若い夫婦と

六歳の長女と

四歳の長男と

生まれたばかりの一歳の次女という

五人家族の生活で

現在もその家族構成は

変わりませんが

すっかり子供たちが大きくなっていたのが

嬉しくなりました。
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ローコストを

めざしたこともひとつの理由ですが、

小さな家にしたかったのは、

ご夫婦が小さく、

小さな家が似合いそうに思えたからです。

どこを小さくしたかというと、

背の高さを小さくしたのでした。

1階と2階の天井をぎりぎりまで低くし、

2階の床の厚さや

屋根の厚さもなるべく薄くし、

屋根の勾配もゆるくしました。
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この白黒の写真は、

二か月前に訪ねた時の写真。

雨に日だったので暗い写真になってしまいました。

正面の小さな家が「雑木林の家」

まわりの家と比較すると

雑木林の家の小ささがわかります。

表現がよくありませんが、

小屋のようにも見えます。

小屋?

いえ・・・、

実は設計の過程で思いついた言葉は、

「鳥の巣箱のような家」でした。
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もう10年もたちますが、

設計の過程で製作した模型が

日影アトリエに残っています。

すっかりボロボロになってしまった

模型ですが、

愛着があるのです。
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この模型をみても

まわりの家と比べると

ひとまわりもふたまわりも

小さいことがわかります。
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北側斜線制限を

なんとか逃げて

無理に家を大きくしようとすると、

屋根のかたちが崩れます。

それではきれいな

「鳥の巣箱」にならなくなってしまいます。



小さな鳥の巣箱に住む

三人の子どもたちが大きくなって、

いったいどんな風な

生活になっているのだろうと、

内心どきどきしていました。

ところがその心配は裏切られ、

子供たちの肌が

この小さな空間に

はりついているようになじみ、

それぞれに居場所をみつけていたのが、

やっぱりとても嬉しくなりました。
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竣工当時の写真です。

撮影は建築写真家の畑亮さん。

小さな子供たちが写っています。

とてもかわいいです。

家は風景になじむことも大切ですが、

なによりも家族になじんでいることが、

やっぱり一番たいせつなことだと

思った一日でした。
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by y-hikage | 2015-04-08 19:40 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

山泰荘のいま

先週4月2日の

海の町の山泰荘の現場の様子です。

木工事に並行して

竹木舞下地の荒壁土塗りと

電気配線が進んでいます。

南側の木製ガラス戸やガラリ戸も

建具屋さんが製作を始めました。

離れの和室の天井板は、

もともとこの場所に建っていた

明治43年建築の和風海浜別荘の

天井板を再利用します。

母屋の外壁は腰壁が杉板の目板押さえ、

その上部が土佐漆喰ヨロイ仕上げ。

離れの和室の外壁は杉板下見板張りです。

これらの板張りのバランスを確認するために、

再度模型を製作しました(縮尺1:100)。
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僕は、内部の造作の施工図を書き進めています。
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by y-hikage | 2015-04-07 14:37 | 山泰荘 | Comments(0)

家の中の階段

階段の図面を書いています。

キッチンやトイレや浴室や

家の中のあらゆる要素が

主張せずに存在し、

生活の時間が自然に流れ、

いつの間にか眠りに落ちて、

いつの間にか朝を

むかえていたような家が

いいと思う。

ところがどうしても

階段の存在だけは残る。

いつの間にか2階に上がっていた。

そんな階段が理想だ。

ところがそんな理想的な階段が

できあがっても、

上がったり下りたりすることは、

日常の中でやはり

特別な行動のように思えてしかたがない。

階段のない2階建ての家は、

おそらくないだろう。

だから階段の図面を書くときは

特別な気持ちになってしまう。

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(写真は東葛西の家:2007年)

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by y-hikage | 2015-04-04 13:03 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)