ブログトップ | ログイン

日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

hikagesun.exblog.jp

<   2013年 02月 ( 13 )   > この月の画像一覧

15年前の「板倉の家」

最近、偶然の再開が何度かあり、不思議な思いです。

時間を糸にたとえ、

「過去という糸の右端」を右指でつまみ、

「現在という糸の左端」を左指でつまみ、

たるんだ糸を円弧を描きながら左と右をくっつけたような感じです。

                 ※

ひとつめの大きな再開は、

昨年の新潟県の荻ノ島集落。

20年ぐらい前に、

新築のかやぶき民家二棟・「荻の家」と「島の家」を設計した集落です。

そして今年にはいり、まったくの偶然でしたが、

知り合った八王子の大工さんが、

15年前に設計した「板倉の家」の近くに

作業場を構えていたということで、

しばらくぶりに、この家に再開することできました。


「板倉の家」の建て主の要望は、簡潔でした。

・金物を一切使用しない伝統工法とする。

・単純な間取りで、総2階建ての40坪。

・素朴で農夫のような住まいとすること。
c0195909_1752933.jpg
竣工当時の外観写真です。

建主の要望に僕はどう答えたかというと、

・平面的にも、断面的にも、対称する明快な架構。

・伝統的な仕口継手を用い、主に渡りあご工法とする。

・柱を五寸角とする(とうぜん横架材も五寸幅)。

・落とし板と貫を構造耐力壁とする。

・内外真壁とする(この内外真壁の採用は建主の強い希望でした)。
c0195909_1754680.jpg
先日、訪ねた時の外観の様子です。

紫外線や風雨を受けて、板壁が少し侘びた表情になっていましたが、

1200㎜の深い庇が、外壁を守り、傷みはまったくありませんでした。

知らない人が見ると、

昔から建っていた板倉の倉庫のようにも見えるかもしれません。

この場所に完全に根付いていました。

特に設計時に、目立つデザインしたところもなく、

日本の気候風土と構造に忠実な家は、時を経過しても、

なお、さらに輝きを増し、力強くなるということ・・・・、

この家を希望した建主の信念を見せつけさせられた思いでした。
c0195909_175407.jpg
c0195909_175564.jpg
c0195909_175553.jpg
c0195909_1765253.jpg
竣工当時の室内、玄関回り。

使用している主な材料は、杉とヒノキとケヤキと栗。
c0195909_1765749.jpg
竣工当時の室内、北側に葺き下ろした下屋は、吹き抜けになっています。

上屋から軒を一段下げたのは、

北側の外観のプロポーションを整えるためでもありました。
c0195909_17733.jpg

先日、訪ねた時の吹き抜け回りの様子です。

多くの写真は、プライバシーのために紹介できないのが残念ですが、

仕口・継手に、まったくと言っていいほどに、

狂いや隙間が無いのには、おどろきました。
by y-hikage | 2013-02-23 17:58 | 森の中と町の中で | Comments(0)

「手のひらに太陽をツアー」に講師として参加しました。

先週の2月13日~14日に

「ひと・環境計画」主催の「手のひらに太陽をツアー」に

講師として参加しました。

2011年3月11日の東日本大震災から

もうじき2年が経過しようとしています。

東北沿岸部から遠く離れた地域に住む私たちにとって、

時間の経過とともに、

あの3月11日の悪夢が

すこしづつ薄らいでいるようにも感じます。

このツアーの目的は、被災地に足を運ぶことによって、

東北沿岸部の現状を実体験すること、

そして福島の子どもたちの保養の家として

使っていただいている「手のひらに太陽の家」に

体験宿泊することでした。
c0195909_11454852.jpg
何度、訪れたことか、南三陸町の防災庁舎。

周辺は、さらに、更地化が進行し、

防災庁舎は、一人孤独に立っているように

僕には見えました。
c0195909_11455680.jpg

初日は、南三陸町歌津地区でカキの養殖を営む
若い千葉拓さんの話を聞きました。

被災地の現状について・・。

国や県は、将来の大規模な津波被害に備えて、その対策を進めています。
その目玉としているのは、スーパー防潮堤。
その計画全般は、
なんとなく人の又聞きや新聞記事で知っていたつもりでした。

ところが、千葉拓さん、
つまり地元の人の話を聞いて、とても驚きました。
防災計画は、まず地元住民が第一に優先されるべきもの・・。
それが、地元住民の意見を全く聞き入れずに、
高さ8.7mのスーパー防潮堤の計画図が
いきなり提示されたとのこと。
地元の人たちにとって、
海は、ふるさとであり、思い出でもあり、生活の糧でもあり、
この地域の魅力を未来に発信していく宝です。
この大切な海が、まったく見えなくなるような、
コンクリートの塊で、漁村を覆ってしまう国と県の計画。
c0195909_114629.jpg
この上の図面が、地元住民に提示された計画図です。
グレーの部分が、高さ8.7mのスーパー防潮堤です。
海岸線から川沿い上流まで、
コンクリートの絶壁をつくる計画です。
c0195909_1146814.jpg
その計画を航空写真に落とし込んだ図面。
c0195909_11461341.jpg
この上の図面が、
国や県の計画案をなんとか、
町と生活を海に近づけようとして、
千葉拓さんが専門家と共に考えた案です。
これでも妥協案のようですが、
防波堤を海岸線から遠ざけ、
防波堤の高さを下げ、
その内側の地盤面を上げ(黄色い部分)、
海が見えるようにした案です。
(海が見えないと津波が来たことに気が付かないことも、
その理由のひとつとのこと)。

防潮堤がまったく必要ないとは思いますせんが、

地域固有の

住民の気持ちや

生活や

地理的な条件や

歴史的背景があるはずです。

この地域性を無視して、一律に計画を進めることに、

僕は大きな問題を感じます。

千葉拓さんの話は、

私たちが

知らなくてはならない被災地の現状だと思いました。
c0195909_11462022.jpg
初日の夜は、
「手のひらに太陽の家」の管理棟2階の多目的研修室で、
日本の森バイオマスネットワークの
佐々木理事長と大場副理事長の講義があり、
加えて、僕の「手のひらに太陽の家」についての
建築的な解説がおこなわれました。

真剣に聞き入る参加者の人たちです。
c0195909_11462786.jpg
「手のひらに太陽の家」の中の、

お湯をつくり、部屋をあたためる、

おおきなペレットボイラー。

ボイラーの煙突から煙がでているのをみて、

「ああ、家が働いている・・・。」

と思いました。
c0195909_11463213.jpg
前から欲しかった、

スタッフの人たちの手作りクッキー

「手のひらクッキー」です。

館長の細木さんから

「木の建築大賞」の受賞の記念に

帰りがけにいただきました。

もったいなくていまだに食べることができません。
by y-hikage | 2013-02-18 12:47 | 手のひらに太陽の家 | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その6

愛知芸大は、講義棟を中心軸にして、

東側に音楽学部棟と奏楽棟、

西側に美術学部が配置されています。

それらを構成するすべての建物は、

独立しながらゆったりと建っています。

c0195909_102245.jpg

建物と建物は、時に、吹きさらしの回廊でつながり、

その水平に伸びる屋根の連なりが、

学生同士のつながりを象徴しているようでもありました。
c0195909_10222059.jpg

建築の意匠は、用途に応じて使い分けられています。

この建物は音楽学部棟です。
c0195909_10224237.jpg

外にもれる楽器の音に誘われ、

恐る恐る校舎に入っていきました。

練習室のドアを開けたら、学生たちが練習しています。

学生たちの楽しそうな話し声と、

とぎれとぎれの楽器の音が、

吉村順三が設計した空間の中で呼応しています。

とても素敵な空間でした。

(もちろん、撮影していいですか?
と学生さんに聞いて撮りました・・・・)
c0195909_1023231.jpg

今回の見学で、講義棟の次に期待していた奏楽堂です。

構造と音響を同時に考慮に入れた、折半屋根が特徴です。

室内から見るこの屋根(天井)は、

まるで木の葉のようだと本を見て思ったのです。

残念ながら内部に入ることはできませんでした。

c0195909_10233298.jpg

さて、美術学部の石膏室です。

ガラスの天窓から自然光が降りそそぎ、

石膏の模型がいまにも動きそうな気配でした。
c0195909_10235170.jpg

もう何年も前から見学したいと思っていた、

愛知県立芸術大学。

昨年が終わるころに、やっと実現できました。

さて、次の吉村順三の建築巡礼は、

どこに行こうか・・・。な
by y-hikage | 2013-02-17 10:56 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その5

建築を見学する時はときめきます。

朝早く着きすぎて、

そのときめきをおさえながら、

名古屋駅で愛知芸大に電話をしました。

内部を見学してもよろしいでしょうか、と。

とくに問題がなそうな電話の向こうの返事。

ということで・・

恐る恐る、講義棟の教室にはいりました。
c0195909_20451654.jpg

空中に浮く講義棟の教室です。

コストを抑えるために、

構造の断面が教室の断面になっています。

・・・僕は、しばらく、建築を忘れてしまいました。

学ぶ場所って、なんて素敵なんだろう。と思いました。

冬休みのがらんどうの教室に一人たち、学校っていいなあと、

懐かしい気分にひたっていました。
c0195909_20453949.jpg
c0195909_2046077.jpg

講義棟を特徴づける白いルーバーは、

教室からみるとこんな風です。

僕には、白い光をあやつる、おおきな貝のように見えました。
by y-hikage | 2013-02-11 21:14 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その4

愛知芸大の講義棟の廊下について・・。

講義棟は、キャンパスのゲートブリッジのように、

ピロティーによって空中に浮いています。

宙に浮いているので、

講義室には、吹きさらしの階段を上がっていきます。

柱や階段回りの詳細を眺めてみます。
c0195909_574069.jpg

c0195909_58288.jpg
c0195909_583499.jpg
c0195909_59735.jpg
c0195909_592430.jpg

この講義棟の最大の特徴は、

廊下が講義室にぶら下がるように独立していることです。

屋外からの階段を上がると、

このぶら下がった長ーい廊下に入ることになります。

一般的な教室は、片廊下型で、

教室の左右どちらかに廊下があるのですが、

この講義室の廊下は、部屋の下にあります。

宙に浮く講義室からぶら下がった廊下は、

両側がガラス窓であったり、

片方が事務室や研究室のような部屋が張り付いています。
c0195909_594832.jpg

なぜ、このような、あるようで、どこにもない、

断面計画にしたのか考えると楽しくなります。
c0195909_5101099.jpg

講義棟は、キャンパスの中で、

最も目立つ、シンボルのような存在です。

よって四面、どこから見ても表になるので、

自然の地形と馴染むような開放感がどうしてもほしくなる。

c0195909_5103286.jpg

そして廊下という存在を自立させることによって、

廊下を単なる動線の一部ではなく、

ここに居て楽しく気持ちいい場所にできる。

さらに、廊下も講義室も東西に開放されているため、

太陽の光や自然の風が室内に、いきわたる。
c0195909_5105829.jpg

細長い、講義棟を宙に浮かせたことで、

様々な要素が、いっぺんに解決できている。

この案に、たどり着くまでの経過に

とても興味がありますが、

無理をしている痕跡がみえないところが、また素敵だと思った。
by y-hikage | 2013-02-10 05:51 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その3

吉村順三記念ギャラリーで撮った、

愛知芸大の模型写真がここにあります。
c0195909_10313539.jpg

写真左側が北、右手が南になります。

写真中央に細長くのびる建物が講義棟です。

講義棟は正確に南北軸に配置され、

この講義棟の南北軸を中心軸にして、

西側が美術学部、東側が音楽学部、

南側に図書館や学生ホールを配置し、

さらに地形に合わせながら、

体育施設や学生寮や教職員住宅を配置しています。

下から上に向かう道路は、キャンパスに向かう車路。

この車路沿いに歩行者のための園路が広い沼沿いにあって、

とても気持ちいい散策路です。
by y-hikage | 2013-02-09 10:35 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その2

愛知県立芸術大学(以下、愛知芸大)は、

名古屋市の郊外、長久手にあります。

40万㎡とも言われる広大な豊かな緑地の中に計画されました。

建物は、この広大な緑地の中に分散し、

のびのびと計画されています。
c0195909_3122864.jpg

着工が1965年、竣工が1971年。

工事期間に6年を要しています。
c0195909_3124426.jpg

このキャンパスをもっとも特徴づけているのは、講義棟です。

起伏に富んだ地形を水平にカットするかのように、

空中に持ち上げられた白いルーバーが横に伸びる姿は、

近代建築の手法を採用しながらも固くなく、

新しい自然の風景を創りだしています。
c0195909_3125788.jpg

この講義棟は、キャンパスのゲートのようにも見えます。

最寄の駅からこのキャンパスに向かう道は、

途中から大きな沼を囲む森の中を緩やかに登っていきます。

そのとても気持ちいい道がたどり着いた先に、

この講義棟が見える仕掛けになっているように思えました。
c0195909_3131351.jpg

設計中のラフスケッチの段階では、

おそらくただの山だったにちがいありません。

この深い杜の中を吉村順三とスタッフの人たちは、

空想の中で歩きまわりながら、

建築群を構築していったことを想像すると、

とてもわくわくしてくるのです。
c0195909_3143224.jpg

by y-hikage | 2013-02-09 03:40 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

愛知県立芸術大学・その1

建築家・吉村順三を好きになってから、

ずっと気になっていた愛知県立芸術大学。

新幹線での西への出張では通り過ぎ、

いつだったか、愛知県の万博に家族で行ったときは、

不覚にも開催地が愛知芸大の目の前だったこと気が付かず、

ただただ年月が過ぎ、

やっと昨年が終わるころ訪ねることができました。
c0195909_4182084.jpg

前に図面を見て、

自然の地形に馴染むように生み出された建築群と、

そのランドスケープを象徴するような講義棟。

この場所を自分の足で歩いてみたかったのです。
by y-hikage | 2013-02-07 04:30 | 吉村順三ギャラリー | Comments(0)

二川幸夫の建築写真の原点を見てまいりました。

先週の金曜日、

東京新橋のパナソニック汐留ミュージアムに行きました。

展示は、二川幸夫・建築写真の原点「日本の民家 1955年」。

二川幸夫氏は建築専門誌の世界の

トップクラス「GA」の出版者であり写真家です。

二川幸夫氏が撮影する現代の建築の写真は、

圧倒的な凄みと美しさで、見る者に迫ってきますが、

今回、展示された写真、

氏の若き日に日本中の民家を撮影した写真の凄みは、

絶壁の岩のようでした。

二川幸夫氏の写真によるものなのか、

日本の風土と人々が、

時間と共に築き上げた民家によるものか、

おそらくその両方だと思いますが、

写真の凄みに驚きました。

「建築に目を覚まされる」とは、このことだ!と

民家が蘇ってきた感じがしたひと時でした。

c0195909_21452778.jpg


美しい民家の設計のうまさは、やはり圧倒的です。
by y-hikage | 2013-02-04 22:08 | 建築巡礼 | Comments(0)

ある鎌倉の小さな家の小さなリフォーム その10

ある鎌倉の小さな家の小さなリフォームの二日目。

無事、栗駒の唐松無垢30mmの

フローリングが張り終えていました。

さすがです!

とても綺麗に張られていました。
c0195909_18524475.jpg

エコロジーライフ花・直井建築工房の仕事は、

たった六畳の床の張り替えのリフォームでも、

心のこもった仕事を残していくのでした。

この床を見て「荷物を運び入れるのがもったいない!」とのこと

その気持ちがよくわかります。
by y-hikage | 2013-02-03 19:04 | ある鎌倉の小さな家 | Comments(0)