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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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カテゴリ:大町の家( 78 )

大町の家の2019年度グッドデザイン賞

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20186月に竣工した
鎌倉の「大町の家」が
2019年度グッドデザイン賞」を
受賞していたことを
「日日日影新聞(にちにちひかげしんぶん)」で
記事にすることをすっかりわすれていました。

大町の家は、

民家の移築再生というよりは、
大量の古民家の部材を使用し、
新たな民家を再構築するという設計です。

それは世で見る

古材の寄せ集め的な空間ではなく、
あたかも数百年前から
元の姿であったかのように
再構築することが目標でした。

2019年度グッドデザイン賞」の
受賞対象者名は、
[住み継ぐ「大町の家」]
受賞番号は「19G120907」です。



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応募時のコンセプトを再録してみます。

背景 : 


今住まう人のことだけでなく、これまで住んでいた人、次に住む人のことを考えた日本の「住み継ぎ」を意識した本プロジェクトは、日本の建築文化を残したいという思いから始まった。


日本の古都鎌倉でさえ、古い歴史を感じる家が壊され、短命を感じさせる家が急速に増えている。


また、一般的な古民家の移築再生は、多くても2棟の古民家を合わせ、架構をそのままに構成させるが、この住宅は10棟以上の古民家の古材を設計に合わせ、選定し、古い柱と梁で新たな架構を構成している。これは、知識を持った設計士と大工の技術があったからこそ成し得たものだ。


現代においては、日本古来の建築文化の衰退により、そのような設計士や大工などの職人が減少しており、古民家の再構築は困難な場合が多い。このような状況下で、古材を再活用して住み継ぎ、さらに次世代へ住み継がれていく住まいが完成した。


〇経緯とその成果:

近年、効率化やコストばかりを重視した建築が多くなり、強制乾燥をさせた木材が使われることが多いのが現状である。古材は長い年月をかけ、自然乾燥していき、強度を増した「天然乾燥材」である。


大町の家は、そのほとんどが古材で構成されている。新材では、反りなどの変形によって狂いが生じてしまい、骨組みの強度が下がってしまう。古材には今では手に入りにくいような太くて狂いにくい銘木が沢山あり、それらを活用することは、意匠面のみに留まらず、強度や環境面でも多くのメリットがあると言える。


古民家などの日本の伝統的な建築は、移築再生や古材の再利用が容易にできる優れた工法であり、大町の家は、鎌倉の街において、100年以上後も住み継がれる建物になると自負している。


〇審査委員の講評にはこのように書かれています。

もともと福井にあった古民家の部材を数多く集めて、新たに鎌倉に新しい家として建てた住宅である。単なる改修でもなく、解体移築でもない、全く新しい建築生産のあり方を見せてくれる住宅である。

そもそも日本の住宅は、引っ越しの際に建具を持っていったと言われるように、共有可能な寸法体系や解体可能な架構システムがあったが、それを現代的な視点で大々的に行っているのが新鮮である。


資源の再利用という意味合いを超えて、住宅をつくる意味、支える技術や流通の価値など、多くのことを考えさせてくれる試みである。


(担当審査委員: 俊治小見 康夫千葉 栃澤 麻利



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by y-hikage | 2020-03-20 09:46 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その12

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大町の家は、

東西軸を棟とする切妻屋根の家です。

南に面して

東から

茶の間・居間・座敷と続きます。

この三つの部屋は

庭との中間領域として

続きの広縁を設けています。


この広縁は

夏の日射遮蔽、冬の断熱の領域の

役目も担います・・・、が

日本建築の形式に習った家のかたちです。


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茶の間の前の広縁は

土間のたたきとしています。

東側の庭には

井戸とかまどを設けており、

東の庭への勝手口の役目を担っています。



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by y-hikage | 2019-11-17 08:56 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その11

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大町の家の居間の広さは、

16畳あります。


大きな吹抜け空間は棟木まで達し

その高さは6.5m以上になります。


使用する古材は、

家の中で再利用する材料の中で

もっともいい材料(柱・梁・指鴨居)

を選びました。


床板はケヤキとし、

中央に掘り炬燵形式の囲炉裏を設けました。

日本の民家に習い、

囲炉裏の上に火棚と自在鉤を吊るしました。


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居間の吹抜けの見上げ


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作業小屋に並べられた古材の「一部」たち。

すべての材料において

設計図に基づき

一本一本吟味しながら選んでいきました。


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居間吹抜けの梁組を加工する大工さん


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作業小屋の脇で骨組みの仮組をおこないました。

この写真は居間吹抜けの梁組



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by y-hikage | 2019-11-17 08:29 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その10

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鎌倉の

大町の家の小屋組は、

登梁構造としています。


梁間中央を棟の筋とし、

棟通りの下段に

50㎝角の牛梁を掛け、

上段に60㎝直径の

棟木を掛けています。

(写真で見えませんが・・・)


下段牛梁に

1間間隔で登梁を連続して

掛けています。

(実際は1間以下の箇所もあります)



牛梁や棟木はもちろんのこと、

登梁も古材を一本一本選定しています。

古材が太かったり曲がっているため、

複雑な架構のように見えますが、

1間間隔の登梁構造の上屋と

その上屋をサポートする下屋の配置は、

古来からの構造的な構成を

受け継ぐもので、

いたってシンプルな架構です。


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2階は居間の吹抜けを囲むように、

多目的ホールと二つ寝室

そして納戸が配されています。

古材は福井県の

農村の民家の部材を使用していることから、

床板は、

福井県の美山杉を

床材30㎜に加工したものを張っています。


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実際に室内にはいると

棟木まで見える力強い空間になっています。


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by y-hikage | 2019-11-16 14:49 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その9

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大町の家

主屋の階段

階段の材料は、指し鴨居を再利用しています。

材料はケヤキ。

段板だけではなく

ササラ桁も指し鴨居を使用しています。

黒い観音扉は応接室の入り口です。

古い質屋さんの蔵に使用されていた

鉄の観音扉の錆を落として磨き、

黒く塗装しました。


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by y-hikage | 2019-11-16 14:20 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その8

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大町の家には、

日常生活でいちばん長く居る

茶の間を設けました。

茶の間には畳が敷かれ、

掘りごたつをつくりました。

茶の間の北側の台所に続き、

南側は広い土間空間に面しています。

茶の間の西側には

大きな吹抜けの居間があり、

茶の間とこれら隣接する空間とは

繊細な格子戸で仕切られています。


この茶の間は、

食事をしたり

テレビをみたり

新聞を読んだりする・・・

お茶を飲んだりする

日常の居場所です。


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by y-hikage | 2019-11-05 11:31 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その7

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大町の家の室内を仕切る建具は、

建主さんが長い年月

収集した古い建具を再利用しています。

収集した建具は多種多様です。

格子戸、帯戸、

蔵戸、障子、古ガラスなど・・・。

かなりの量の古い建具を

一本一本この目で確かめ

寸法を実測し、

機能的・意匠的に適切な場所を

選び再利用しています。

古建具はいったん解体して

建築の寸法に合わせて造作を決めることは

建具屋さんに負担がかかるので、

古建具の寸法と寸分の狂いがないように

造作の寸法を図面の段階で決定しています。


それはあたかも以前からあったかのように・・・

という設計思想にもとづいています。


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by y-hikage | 2019-11-05 11:03 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その6

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大町の家の玄関わきに

6畳ほどの小さな応接室を設けました。

この応接室に奥行45㎝ぐらいの

床の間に見立てた空間を用意しました。

床の間に見立てた場所なので

ちょうどいい指し鴨居を選び

落とし掛けとしました。

違い棚は古材を格納していた倉庫の

片隅に眠っていた材料を

再利用したものです。

指し鴨居も違い棚も

この場所に合うような寸法であることを

条件に選定したもので、

寸法の調整は最低限にとどめています。


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指し鴨居に並べて

引っ掛けている不思議なものは、

提灯を乗せるための部材です・・・。


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応接室に入る引き戸は、

蔵戸を利用しています。



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by y-hikage | 2019-11-04 16:56 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その5

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鎌倉の大町の家には、

二間続きの和室があります。

床の間がある10畳の和室。

仏壇を置く7.5畳の仏間。

和室を構成する材料は

基本的に古材を再利用していますが、

根太天井の

根太と天井板は

新しい杉を使用しています。


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大町の家に共通していることですが、

1階の天井は根太天井としています。

ただし2階の足音を防ぐために

化粧根太天井の上に

野根太(見えない根太)設け、

根太間に断熱材ウールブレスを入れています。

この二重床が

電気配線スペースの役目も担っています。


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帯戸の向こうに見えるのは

二階にあがる階段。
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by y-hikage | 2019-11-04 11:51 | 大町の家 | Comments(0)

大町の家の竣工写真・その4

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大町の家・・・主屋の玄関

柱や床梁に古材を使用するだけではなく、

建具も古材を再利用しています。

玄関戸は蔵戸、

座敷と板の間の仕切りは

漆塗りの帯戸を入れています。

階段の段板は

ケヤキの指鴨居を使い

(あえて厚みのちがいを意匠としています)、

ササラ桁および手すりも

古材を加工し再利用しています。

床板はケヤキ(無垢材)の新材を

縁甲板30㎜に加工して張っています。

玄関の上り框は、

曲がり具合をにらみながら

選定した古材を加工したものです。


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by y-hikage | 2019-11-01 11:54 | 大町の家 | Comments(0)