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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

hikagesun.exblog.jp

カテゴリ:日影アトリエの本棚( 107 )

釜石鵜住居スタジアム

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8月のお盆に帰省し、

実家で地元紙・岩手日報を読んでいたら、

岩手県釜石市鵜住居町(うのすまいまち)に

建築中だったラグビースタジアムが

完成した記事を見つけました。

2019年ラグビーワールドカップ(W杯)の

会場となるスタジアムで、

正式名は、

「釜石鵜住居復興スタジアム」。

震災津波で全壊した

鵜住居小学校、釜石東中学校の跡地などに

建築されたものです。


僕はこのスタジアムの写真を見て

本当に驚きました。

国際的な競技場であるにもかかわらず、

芝生グランドと

周辺のまちなみと

フラットで境がありません。

文字通り「 地続き 」です。

この解放感に心が洗われる思いがしました。

「市民に開放された競技場」などは

よく使われる言葉ですが、

いつわりのない「市民に開放された競技場」は

鵜住居スタジアムが国内で

初めてではないかと思いました。

現在、明治神宮外苑に建築中の

新国立競技場とは対極にあります。

もちろん岩手県出身の僕としては

鵜住居スタジアムに軍配をあげます。

さらに新国立競技場のあるべき姿が

鵜住居スタジアムにあるように思いました。

今となっては遅いのですが・・・。

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建築中の鵜住居スタジアム。

遠くに見える山裾に建つ建物は、

20173月に竣工した

鵜住居小学校・鵜住居幼稚園

鵜住居児童館・釜石東中学校。

設計は、Catの小嶋一浩氏。

小嶋一浩氏の遺作。


※※※


中学から社会人27歳ぐらいまで

ずっとバスケットボールをやってきたので、

ラグビーにはまったく縁がないのですが、

地元・岩手に

鵜住居スタジアムという

誇れる建築ができたことが

素直に嬉しいです・・・。



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by y-hikage | 2018-09-08 13:54 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

日影良孝建築アトリエのホームページを更新しました。

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日影良孝建築アトリエの

ホームページを更新しました。

更新内容は、

「 WORKS 」に


〇山泰荘 

〇みたかの家 

〇台の家 

〇稲田堤の家


を加えたこと。


「 gallery 」の写真を充実させたこと。


「 住み継ぎ 」の内容が

今まで中途半端だったもの内容を整えたこと。


「 プロフィール 」の所員との対談に

あとがき を書き加えたこと。


以上4点です。


日影良孝建築アトリエのホームページは、

外注せずに内部で製作し更新しています。


本来ならすべて白紙の状態から

製作し直したかったのですが、

まとまった時間がとれないため、

既存のホームページに

手を加えただけになりました。


これからは、

この既存のホームページを更新しながら、

まったく新しいホームページのシナリオを

練っていきたいと思いっています。


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日影良孝建築アトリエのホームページ⇒

http://hikage-atelier.com/




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by y-hikage | 2018-07-12 11:45 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

羊と鋼の森

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森の匂いがした。

秋の、夜に近い時間の森。

風が木々を揺らし、

ざわざわと葉の鳴る音がする。

夜になりかける時間の、森の匂い。


体育館からつながる廊下に出ようとしたとき、

後ろでピアノの音がした。

ピアノだ、とわかったのは

ふりむいてそれを見たからだ。

そうでなければ、

楽器の音だとは思わなかっただろう。

楽器の音というより、

何かもっと具体的な

形のあるものの立てる音のような、

ひどく懐かしい何かを表すもののような、

正体はわからないけれども、

何かとてもいいもの。

それが聞こえた気がしたのだ。


森の匂いがした。

夜になりかけの、森の入り口。

僕はそこに行こうとして、やめる。

すっかり陽の落ちた森は危険だからだ。


「このピアノは古くてね」

「とてもやさしい音がするんです」

「昔の羊は野原でいい草を食べてたんでしょうね」

「いい草を食べて育ったいい羊のいい毛を贅沢に使ってフェルトをつくっていたんですね。今じゃこんないいハンマーはつくれません」

「ピアノの中にハンマーがあるんです」

「こうして鍵盤を叩くと」

トーン、と音が鳴った。

ピアノの中でひとつの部品が上がり、

一本の線に触れたのがわかる。

「ほら、この弦を、ハンマーが叩いているでしょう。このハンマーはフェルトでできているんです」


時間さえあれば僕はピアノの前に立ち、

屋根を開けて内側を覗いた。

八十八の鍵盤があり、

それぞれに一本から三本の弦が張られている。

鋼の弦はぴんとまっすぐ伸び、

それを打つハンマーが

まるでキタコブシの蕾のように

揃って準備されているのを見るたびに、

背筋がすっと伸びた。

調和のとれた森は美しい。

「美しい」も、

「正しい」と同じように僕には新しい言葉だった。

ピアノに出会うまで、

美しいものに気づかずにいた。

知らなかった、というのとは少し違う。

僕はたくさん知っていた。

ただ、知っていることに気づかずにいたのだ。


「 目指す音ですか 」


「 明るく静かに澄んで懐かしい文体、
少し甘えているようでありながら、
きびしく深いものを湛えている文体、
夢のように美しいが現実のようにたしかな文体 」


ぼやけていた眺めの一点に、

ぴっと焦点が合う。

山に生えている一本の木、

その木を覆う緑の葉、

それがさわさわと揺れるようすまで見えた気がした。

ピアノって、

こんな音を出すんだったっけ。

葉っぱから木へ、木から森へ、山へ。

今にも音色になって、音楽になっていく。


自分が迷子で、

神様を求めてさまよっていたのだとわかる。

迷子だったことにも気がつかなかった。

神様というのか、目印というのか。

この音を求めていたのだ、と思う。

十年も前に森の中で、自由だ、

と感じたあのときのことを思い出す。

身体から解き放たれることのない

不完全さを持ちながら、

それでも僕は完全な自由だった。

あのとき、僕のいる世界の神様は

木であり葉であり実であり土であったはずだ。

今は、音だ。

この美しい音に導かれて僕は歩く。


森の中で、熟した胡桃がほとほとと降る音。

木の葉がしゃらしゃら擦れる音。

木の枝に積もっていた雪が

ちょろちょろ流れ出す音。


翌朝早く、森を歩いた。

下草を踏み、エゾマツの赤茶けた幹を撫でる。

梢でカケスが鳴いている。

懐かしい、と感じていることに戸惑う。

忘れていたのか。

心はここを離れていたのか。

風が吹いて、森の匂いがする。

葉が揺れ、枝が擦れる。

エゾマツの葉が緑のまま落ちるとき、

音階にならない音がする。

幹に耳を当てると、

根が水を吸い上げる音がかすかに聞こえる。

カケスがまた鳴く。


「ピアニストになりたい」

「プロを目指すってことだよね」

「目指す」

「プロで食べていける人なんてひと握りの人だけだよ」


「ピアノで食べていこうなんて思っていない」

「ピアノを食べて生きていくんだよ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・

(「羊と鋼の森」の好きな部分を書き繋ぎました)

・・・・・・・・・・・・・・・・・


本屋さんで

「羊と鋼の森」のタイトルをみつけたとき、

この文字に惹かれて本を開いたら、

ピアノの調律師をめざす

青年の物語だと知りました。

ピアノの音楽はよく聴いていても、

ピアノがどのような構造で、

どんなふうにして音を奏でるのか、

ほとんど知りませんでした。

この本を読むことで、

ピアノのことを少しでも

知ると事ができるかもしれないと思い、

買って読みはじめました。

読みはじめたら、

この美しい文章という

森にひきこまれてしまいました。

ちょうど今の時期、

映画にもなっているということで、

仕事の合間をみつけて映画も観てきました。

原作を見事なまでに

美しい映像と音で

表現されていたことに感動しました。



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by y-hikage | 2018-06-22 12:42 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

BB研究会で講演させていただきました。

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518日の金曜日の夜、

神楽坂のアユミギャラリーで

講演をさせていただきました。

講演会の主催は「BB研究会」。

講演のテーマは

BB研究会のリーダーでもある

南雄三さんが考えた

「木の建築・日影良孝の世界」。

講演会の時間は約2時間で、

前半は僕自身が今までの仕事を

スライドで紹介するかたちで・・・、

後半は南雄三さんとの

対談形式でおこなわれました。

「木の建築・日影良孝の世界」という

大きなタイトルを頂戴して、

はたして何を話していいのか

わからなかったのですが、

特に気負わず

いままでのありのままの姿を

紹介させていただきました。

人の前で話すのは大の苦手。

しかも建築の専門家の前で

話すのは特に苦手・・・。

などと緊張していましたが、

南雄三さんの楽しい雰囲気に

引き込まれたおかげで

リラックスしながら話すことができました。


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講演会が終了し、南雄三さんと記念撮影。


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僕の講演を聞いてくれた

建築家の安井昇さんと

建築家の古川泰司と記念撮影。

〇 〇 〇 〇 〇

BB研究会で講演した資料の

全ページを日影良孝建築アトリエの

フェイスブックページに投稿しています。

https://www.facebook.com/pg/HikageYoshitaka/photos/?tab=album&album_id=1328174450616613

・・・・・・       ・

日日日影新聞のリンク集の中にも

日影良孝建築アトリエの

フェイスブックページがあります。





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by y-hikage | 2018-05-25 15:29 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

八重のドクダミが咲きました。

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日影アトリエの製図室から

歩いて5分ほどのところに

日影アトリエの資料室があります。

資料室の部屋は庭に面していて、

いまの季節になると

八重のドクダミが咲き乱れます。


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日影アトリエ資料室の南の庭。


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咲き乱れる八重のドクダミ


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八重のドクダミを摘んできて、

製図室に飾りました。


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サボテンの花も最近咲きました。



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by y-hikage | 2018-05-24 15:44 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

こけだま

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三月のはじめ、

東慶寺「北鎌倉ギャラリー空」で買った

苔玉・・・。

二か月がたち苔玉に、

葉っぱが茂るようになりました。

葉っぱは太陽に向かって育っています。


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三月のはじめ、

買ったばかりの苔玉・・・。


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もう五月になりました。

外も製図室の中も暑く、

ガスストーブをしまって、

扇風機をだそうかと思います。

バルコニーのゴーヤ村の、

トマトとナスの成長のはやさには

おどろいています。




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by y-hikage | 2018-05-01 16:04 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

お風呂が椅子になりました。

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椅子の座り心地の良さは

座面の広さにも関係するのではないかと思い、

座布団の大きさの椅子を作ろうと思いました。

さて、材料をどうしようと悩んでいたら、

木製の浴槽を解体した部材が

残っていることを思い出しました。

木曽檜をあわせるために

埋め込まれていた金属を

丸ノコで飛ばしながら、

やっとの思いで

座布団の大きさに切りました。

平面的な大きさは450㎜角。

高さはキャスターを含めて400㎜です。

日影アトリエでは珍しく、

木目をつぶして

座布団の色にあうように

着色塗装をしました。

座面が広いと安定感がでて、

どっしりとした感じがします。

座布団がもう少し

厚ければよかったようにも思います。


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by y-hikage | 2018-04-28 09:26 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

組手什の箱を作りました。

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組手什(くでじゅう)の箱を作りました。

僕には悪い癖があって、

心に残った新聞記事を

保管する癖があるのです・・・。

それらの新聞記事は

段ボールの箱に入れてきましたが、

美観上よくないので

木の箱で新聞入れを作ろうと考えました。

さて、材料をどうしようと悩んでいたら、

使っていない組手什を思い出しました。

使っていない組手什は、

5年前の建築家展で使用したもの・・・。

組手什は、

「日本の森バイオマスネットワーク」


で購入しました。


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組手什を必要長さに切って、

箱型に組んでみたら、

正倉院・校倉造りのようで

意外ときれいなかたちになりました。

組んだままだと持ち上げると

バラバラになるので、

裏側に3㎜×15㎜の板を

釘で打ち付けて固定しました。


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組手什の箱は、

大小二つ作りました。

大きいほうは新聞入れ。

小さいほうは領収書の仮置き場です。


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新聞記事と領収書が入った

組手什の箱ができあがりました。


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by y-hikage | 2018-04-27 12:03 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

たためる椅子のための「うごく机」を作りました。

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建築家・吉村順三が設計した

「 たためる椅子 」のための

「 うごく机 」を作ってみました。

たたためる椅子は、

とてもすわり心地がよく

気持ちよく本を読むことができます。

しかしながら座ってスケッチするには、

一般的な机の高さだと

座面が低いように思います。

そこでたためる椅子に合うような

机はどんなものかと考え、

実際に作ってみました。


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たためる椅子に合う

机の条件を以下のように設定しました。


1・椅子の肘掛けの上

  すれすれに机の天板があること。

2・机の下で足をのばせること。

3・机の上にA4サイズのクロッキー帳と

  コーヒーカップがのること。

4・机が動くこと。

5・机が安易に転倒しないこと。


いくつかスケッチしながら検討し、

たためる椅子の実測図を書き、

机の図面を書いてみました。

一応、上記の条件を全て満たしています。



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うごく机の簡単な説明

・・・・・・・・・・・・・・・・

たためる椅子の肘掛けの天端から

机の天板まで7㎜の隙間があります。

つまり7㎜以上は傾くことがなく、

机が転倒しようとしても

肘掛けが天板を支えてくれます。

・・・・・・・・・・・・・・

机の下で足をのばすには、

机の天板が

机を支持する脚から

跳ね出していなければなりません。

跳ね出しているとスケッチする場合、

腕の荷重に耐えきれず

転倒の原因になります。

しかも可動にするための

キャスターがついているため、

転倒の条件が増加します。

この問題を解決するために、

二つのことを考えました。

ひとつは、

机の天板を軽い杉とすること。

あわせて天板を支持する脚の材料を

重たい赤松とすること。

ふたつめは、

一枚の側板を床面すれすれまで伸ばし、

側板の下端が机の転倒を防いでくれること。


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うごく机が、

たためる椅子の肘掛けの上まで移動しました。


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うごく机の上にA4サイズのクロッキー帳と

コーヒーカップがのりました。


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一枚の側板が床面から3mm浮いています。

そのためうごく机は3mm以上傾きません。

しかもキャスターの存在もわかりません。


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机の天板は杉。

机の脚は赤松。

使用した材料は、

古材を加工して製作しました。

木工技術がないので

脳天ビス止めとしています。

あいかわらず粗っぽい仕事ですが、

材料の良さが

その粗っぽさを助けてくれています。


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実際の人間が座ると

こんな感じです・・・。


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「 たためる椅子 」をたたんだ場合、

「 うごく机 」は、

製図板のサイドテーブルにも使え、

うごく机の中が本棚としても利用できます。


これで「 たためる椅子 」の

有効利用の世界が格段に広がりました。




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by y-hikage | 2018-04-26 11:49 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)

プーランクの悲歌

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製図室にある古いスクラップブックを

何気なくめくっていたら、

坂本龍一が書いた音楽のページをみつけました。

「 耳の記憶----

12の調べが奏でる音楽の贈りもの 」

というタイトルの連載で

32回目の文章でした。

その32回目は、

プーランク(18991963)という作曲家の

オーボエ・ソナタ第1楽章「 悲歌 」

について書かれていました。

プーランクの「 悲歌 」第1楽章は

のどかでゆったりとしていて

好きな曲です・・・。

坂本龍一は

この曲についてこのように書いています。

〇 〇〇 〇 〇

これは戦後(1962年)に作られた曲ではありますが、ト長調と調整も明快。モーツァルトの音楽のように朗々としたわかりやすいメロディーがあり、そしてポップなピアノの伴奏があるという、ある意味、古典的な曲なんです。どうしても「戦後の曲」というとノイジーな現代音楽が多いですから、プーランクを知らない人が聞いたら、一体いつの時代の人が作ったんだろう、と驚くぐらい明朗な音楽です。

〇〇〇〇   〇

なるほど・・・・。

この曲は僕が生まれた年に作られたんだ・・・。

とはじめて知りました。

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by y-hikage | 2018-04-22 11:13 | 日影アトリエの本棚 | Comments(0)