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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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吉田鉄郎の光風亭

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先日、都内での設計打合せ


建主さんのご自宅近くの


Qs-GARDEN内に建つ


「光風亭」でおこないました。


Qs-GARDENには、光風亭に隣接して


「蒼梧記念館」も建っています。


光風亭は写真で見るよりも、


素晴らしい建築でした。


無駄な線がまったくなく、


線の構成や線の強さが見事でした。


近代から現代の建築の中でも、


美しい建築ではないかと


思わせる力(端正で静かな力)を感じました。



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光風亭は、


吉田鉄郎は(18941956)の設計です。


建築家・吉田鉄郎は


東京中央郵便局を代表作とし、


庭園研究家としても知られています。


逓信建築の先駆者のひとりで、


多くのモダニズム建築を設計しました。



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光風亭(旧馬場正俊烏山別邸)は、


1937年(昭和12年)の竣工で、


富山北前船の船主として名をはせた


馬場氏の別邸として利用されていました。


1937年に富山県出身の


実業家:馬場汽船社長の馬場正俊の


別邸として建てられたもの)


吉田鉄郎は光風亭のほかに、


旧馬場氏牛込邸(1928年・重要文化財)、


旧馬場氏熱海別邸(1940年)


なども設計しています。



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光風亭の外観は、12階とも


深い軒を巡らせていることが特徴です。


大胆に開口部を設け、


明るく清々しい空間が連続しています。


長方形のガラスブロックが


大胆に用いられており、


日本での最初期のガラスブロックであり、


ガラスブロック製造の


歴史的価値を有するとのことです。


光風亭はDOCOMOMOJapan


選定されています。



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この軽やかな表現は、


現代建築家の作品と


比べても負けていない印象・・・。



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スチールサッシと


窓台のタイルのディテールが


端正で美しいです。



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ガラスとスチールサッシのディテールが


繊細で綺麗です。



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当時のガラスブロックを


現代のガラスで保護しています。



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シンプルで端正な階段の手すり。



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階段踊場に面するガラスブロックウォール。


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2階には和室があり、


この和室の設計もとても上手です。



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欄間障子の吊束を廃止しなくとも、


美しい表情を見せています。



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写真ではわかりにくいのですが、


雪見障子のガラスの納まりが、


吉田五十八(18941956)が


設計した猪俣邸(1967)と同じです。



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2階洗面室・・・。


袖壁を支持する丸棒と


パネルのとりあいに、


軽快なモダニズムのセンスが現れています。



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2階の浴室



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1階の台所・・・。


◇◇◇


光風亭の建築を建主さんと一緒に


見学しながら感銘を受けたひと時でした。


今度は、実測に来てみようと思います。



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こちらは光風亭に隣接する、


松本興作の作の蒼梧記念館


第一生命の創業者である矢野恒太が


1927年から終戦直後まで


暮らしていた田園調布の旧家を


1986年にこの地に移築したものです。


その瀟洒な館を現在に至るまで


「蒼梧記念館」として保存しています。


設計者である松本興作は


第一生命の技師・営繕課長で、


建築家・渡辺仁と共に


第一生命館の実施設計を


担当しています。


内部は非公開のようで、残念ながら


見学することはできませんでした。



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by y-hikage | 2023-06-23 17:15 | 建築巡礼 | Comments(2)
Commented by 山田正彦 at 2024-01-11 17:01 x
昨年、『越中福野の詩百篇ー発酵と歩んだ山田三代ー』を上梓しました
 福野の町、砺波野に止まらず、富山市・滑川市・魚津市・立山劔など
富山県全体を扱っています。県内の風俗に関する写真も豊富です。
 今年8/7に国登録有形文化財となった山田家住宅洋館(吉田鉄郎作)の
背景がよくわかると好評です
 よろしければ一冊お送りします


  603-8208
京都市北区紫竹西桃ノ本町21-1
山田正彦
Commented by y-hikage at 2024-01-14 12:04
> 山田正彦さん
日日日影新聞をお読みいただきありがとうございます。たいへんおそれいりますが、もしよろしければご本をお送りください。建築家・吉田鉄郎は好きな建築家です。ご本をよませていただき勉強をしたいと思います。よろしくお願いいたします。
日影良孝建築アトリエ 日影良孝
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