昨年の6月、
京都府宇治市にある国宝建造物・
宇治上神社を見学してきました。
宇治上神社は、宇治川の右岸、
ちょうど平等院と向かい合うように建っています。
境内のほぼ中央に拝殿を構え、
その奥、一段高い位置に本殿があります。
拝殿と本殿はともに
国宝建造物に指定されています。
拝殿正面・・・。
拝殿は、鎌倉時代前期の造営で、
寝殿造の遺構といわれています。
境内の中央に西南を正面として
建っています。
屋根は檜皮葺で、切妻造、
平入の両妻に縋破風(すがるはふ)を
付けており、
あたかも鳥が翼を広げ
今にも飛び立つような
軽快で優美な姿をしています。
全体に高さが低く抑えられ、
組物に舟肘木、建具に蔀戸(しとみど)や
舞良戸(まいらど)などを使い、
住宅建築のような穏やかな表情で、
宇治離宮の遺構を移したともいわれています。
両側面に付く縋破風(すがるはふ)が
躍動感を与え、外観を穏やかで
軽快感のある表情をもっています。
内部は板敷で、
格天井を低く張っていますが
重苦しくはなく、
戸を閉ざすと静謐な雰囲気に包まれます。
蔀戸を開くと一転して、
正面に本殿が現れ、
光に満ちた空間となります。
切妻平入りの屋根の左右端に
片流れの庇屋根を設け、
(一見入母屋造のように見える)
切妻屋根の接続部で
軒先の線が折れ曲がっており、
こうした屋根のかたちを
縋破風(すがるはふ)とよびます。
拝殿の背面外観
拝殿の内部空間
拝殿の妻面
本殿正面・・・。
本殿は、拝殿の後方、
幅の広い石段を少し上がったところに
建っています。
木立を背景に力強い流造の本殿は、
様式から建立が平安時代後期に遡り、
神社建築で最古の建築といわれています。
外観は五間社流造社殿のように見えますが、
内部に3棟の内殿をもつ
覆屋(おおいや)です。
内殿と構造的に一部を共有するため、
桁行・梁間方向とも柱筋がほとんど通らず、
大疎垂木(おおまばらたるき)の軒も
背面で部分的に繁垂木(しげたるき)となり、
側まわりには内殿の組物が見えます。
さらに、
正面の柱間も2間を除き不揃いで、
両端間(りょうはしま)を特に広くしています。
それらが破綻なく建築的にまとめられており、
むしろこの自由な意匠感覚が
中世的で興味深い建築です。
本殿の妻面
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