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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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円覚寺舎利殿(鎌倉の13棟)

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円覚寺舎利殿は1285年(弘安8年)、


北条貞時(さだとき)によって建てられましたが、


1563年(永禄6年)に焼失してしまい、


西御門にあった太平寺(たいへいじ)という


尼寺の仏殿を移築したものです。


太平寺は、源頼朝の命を助けた


池禅尼(いけのぜんに)の姪を開山として、


頼朝が建てたと伝える尼五山第一位の寺です。


(尼五山は、


太平寺、東慶寺、国恩寺、護法寺、禅明寺)



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円覚寺舎利殿は、


禅宗様のお手本のような建物で、


詰組みや扇垂木、桟唐戸など


禅宗様の意匠を網羅しています。


小規模ながら外観のプロポーションが秀逸で、


軒の反りが大きく、


美しく力強い屋根の曲線を描いています。


神奈川県内の唯一の国宝建築です。


まつられている仏舎利は、


源実朝が、宗の時代の中国にあった


能仁寺(のうにんじ)という寺から


贈られた「佛牙舎利(ぶつげしゃり)」という


釈迦の歯とされています。



軒裏に広がる扇垂木、軒下の弓欄間、


花頭窓など禅宗様の典型を今日に伝えます。


東京都東村山市に建つ


「正福寺地蔵堂(1407年・国宝建造物)」は、


円覚寺舎利殿と同様に


禅宗様の典型的な建築で、


円覚寺よりもひとまわりおおきく


双子の兄弟のような建築です。



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庇の組物から身舎の組物へと梁が渡され、


その上に無数の化粧垂木が走っており、


中央の鏡天井に向かって、


空間があたかも上へ上へと収斂していく


構図は圧巻です。


木組が幾何学模様のようにも見え、


独自の内部空間を演出しています。


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断面図からも、


中央方一間の天井に


迫り上がってゆくような


上昇感を感じさせます。



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by y-hikage | 2022-08-15 16:36 | 鎌倉の建築 | Comments(0)
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