先日、鎌倉市長谷に建つ
吉屋信子邸(吉屋信子記念館)に行きました。
以前にも何度か行っておりますが、
今回は具体的な設計の参考とするために、
使用されている材料の確認や
部材寸法の実測をおこないました。
吉屋信子邸は、
吉田五十八の設計によって
1962年(昭和37年)に竣工しました。
工事は水澤工務店です。
特に和室まわりを中心に
使用されている材料の確認や
部材寸法の実測をおこないました。
◇
和室まわりの材料は主に杉が使用され、
古色塗が施されています。
今まで天井の材料は
杉柾の板だと思いこんでいましたが
布張りでした。
(思いこみはこわいものです)
3尺間に竿縁を設け、
その間に布目透し張りとしています。
そういえば、吉田五十八は
布を好んで使っていることを思い出しました。
鴨居を薄く見せるために
鴨居を吊りボルトで吊っているのも
吉田五十八の標準ディテールです。
応接室から和室を見ます。
吉屋信子から「奈良の尼寺のように」と
望まれたことを受けて、
農家の骨組みのような
骨太の梁組みの意匠としています。
骨太の梁組と
軽やかな天井の模様の対比が印象的です。
書斎
解説文を読んでみます。
◇◇◇
北側に向かって置かれた
書斎机からは裏山が見え、
その手前には藤棚が見ることができる。
北側の庭を望むために
開かれた大きな開口部は、
そこにはめられている
すべての建具(雨戸、網戸、ガラス戸、障子)を
戸袋に収納し全面開放することができる。
建具一枚ごとに敷居には溝がある。
また、ここではそれだけではなく、
もうひと工夫が障子に加えられている。
それは障子の下の4分の1部分を
雪見障子のように開けることができる。
これはちょうど机の真ん中に当たり、
書斎の机に座りながら
庭を楽しむ工夫がされている。
作家である吉屋信子にとって
書斎にたくさんの本棚が必要になる。
吉田五十八は、
単に本棚を設置することを避け、
書斎西側に作り付けの本棚を設置している。
◇◇◇
寝室の天井
寝室の引分け引き込み障子
窓枠を限りなく細く見せるための
「はっかけ納まり」
吉屋信子邸のように
住宅の名作を自由に見学できる「教材」を
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