ブログトップ | ログイン

日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

hikagesun.exblog.jp

吉屋信子邸に行きました。

吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17545784.jpg



先日、鎌倉市長谷に建つ


吉屋信子邸(吉屋信子記念館)に行きました。


以前にも何度か行っておりますが、


今回は具体的な設計の参考とするために、


使用されている材料の確認や


部材寸法の実測をおこないました。


吉屋信子邸は、


吉田五十八の設計によって


1962年(昭和37年)に竣工しました。


工事は水澤工務店です。



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17545298.jpg



特に和室まわりを中心に


使用されている材料の確認や


部材寸法の実測をおこないました。



和室まわりの材料は主に杉が使用され、


古色塗が施されています。


今まで天井の材料は


杉柾の板だと思いこんでいましたが


布張りでした。


(思いこみはこわいものです)


3尺間に竿縁を設け、


その間に布目透し張りとしています。


そういえば、吉田五十八は


布を好んで使っていることを思い出しました。



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17544295.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17543759.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17543190.jpg



鴨居を薄く見せるために


鴨居を吊りボルトで吊っているのも


吉田五十八の標準ディテールです。



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17542662.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17542126.jpg



応接室から和室を見ます。


吉屋信子から「奈良の尼寺のように」と


望まれたことを受けて、


農家の骨組みのような


骨太の梁組みの意匠としています。


骨太の梁組と


軽やかな天井の模様の対比が印象的です。



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17541510.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17540919.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17540310.jpg



書斎


解説文を読んでみます。


◇◇◇


北側に向かって置かれた


書斎机からは裏山が見え、


その手前には藤棚が見ることができる。


北側の庭を望むために


開かれた大きな開口部は、


そこにはめられている


すべての建具(雨戸、網戸、ガラス戸、障子)を


戸袋に収納し全面開放することができる。


建具一枚ごとに敷居には溝がある。


また、ここではそれだけではなく、


もうひと工夫が障子に加えられている。


それは障子の下の4分の1部分を


雪見障子のように開けることができる。


これはちょうど机の真ん中に当たり、


書斎の机に座りながら


庭を楽しむ工夫がされている。


作家である吉屋信子にとって


書斎にたくさんの本棚が必要になる。


吉田五十八は、


単に本棚を設置することを避け、


書斎西側に作り付けの本棚を設置している。


◇◇◇



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17535742.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17535169.jpg



寝室の天井



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17534461.jpg



寝室の引分け引き込み障子


吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17533814.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17533286.jpg



窓枠を限りなく細く見せるための


「はっかけ納まり」



吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17532692.jpg



吉屋信子邸のように


住宅の名作を自由に見学できる「教材」を


もっともっと欲しいものです・・・。


吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17532230.jpg




吉屋信子邸に行きました。_c0195909_17554221.jpg

by y-hikage | 2022-06-03 18:02 | 建築巡礼 | Comments(0)
<< 吉村順三の浜田山の家 39回目のお茶のお稽古 >>