大町の家は、
それは世で見る
〇 背景 :
今住まう人のことだけでなく、これまで住んでいた人、次に住む人のことを考えた日本の「住み継ぎ」を意識した本プロジェクトは、日本の建築文化を残したいという思いから始まった。
日本の古都鎌倉でさえ、古い歴史を感じる家が壊され、短命を感じさせる家が急速に増えている。
また、一般的な古民家の移築再生は、多くても2棟の古民家を合わせ、架構をそのままに構成させるが、この住宅は10棟以上の古民家の古材を設計に合わせ、選定し、古い柱と梁で新たな架構を構成している。これは、知識を持った設計士と大工の技術があったからこそ成し得たものだ。
現代においては、日本古来の建築文化の衰退により、そのような設計士や大工などの職人が減少しており、古民家の再構築は困難な場合が多い。このような状況下で、古材を再活用して住み継ぎ、さらに次世代へ住み継がれていく住まいが完成した。
近年、効率化やコストばかりを重視した建築が多くなり、強制乾燥をさせた木材が使われることが多いのが現状である。古材は長い年月をかけ、自然乾燥していき、強度を増した「天然乾燥材」である。
大町の家は、そのほとんどが古材で構成されている。新材では、反りなどの変形によって狂いが生じてしまい、骨組みの強度が下がってしまう。古材には今では手に入りにくいような太くて狂いにくい銘木が沢山あり、それらを活用することは、意匠面のみに留まらず、強度や環境面でも多くのメリットがあると言える。
古民家などの日本の伝統的な建築は、移築再生や古材の再利用が容易にできる優れた工法であり、大町の家は、鎌倉の街において、100年以上後も住み継がれる建物になると自負している。
そもそも日本の住宅は、引っ越しの際に建具を持っていったと言われるように、共有可能な寸法体系や解体可能な架構システムがあったが、それを現代的な視点で大々的に行っているのが新鮮である。
資源の再利用という意味合いを超えて、住宅をつくる意味、支える技術や流通の価値など、多くのことを考えさせてくれる試みである。
(担当審査委員:仲 俊治・小見 康夫・千葉 学・栃澤 麻利 )
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