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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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朝香宮邸の建築・その8・茶室「光華」

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1933年(昭和8年)に

朝香宮鳩彦王の住居として建てられた

朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)の敷地に

茶室があることを今まで知りませんでした。

いや知っていたかもしれませんが、

記憶に残るような建築ではありませんでした。

今回、あらためて見学し、

その屋根の美しさに感銘を受けました。

杮葺きを銅板で包んでいたのです。

・・・

この茶室は「光華(こうか)」と呼ばれ、

2015年に本館である朝香宮邸とともに

茶室・光華は国指定重要文化財の

指定を受けました。

2016年に改修をおこない

建築当初の姿に蘇り、

一般に公開されるようになったとのことです。

・・・

「光華」という名称は

朝香宮鳩彦王自らが付け、

扁額も朝香宮鳩彦王の

直筆のものと伝えられています。

・・・

設計は

武者小路千家の茶人である中川砂村。

施工は「昭和の名工」と呼ばれた

大阪の数寄屋大工棟梁・平田雅哉により、

1936年(昭和11年)に完成しています。

数寄屋大工・平田雅也は

1900年(明治33年)堺市に生まれ、

1980年(昭和55年)80歳の生涯を閉じます。

ほぼ同時代の

数寄屋大工・中村外二1906 - 1997年)と

比較すると、洗練された数寄屋というよりも、

意匠的な要素が多く、

手の痕跡が表に出ている感じがいたします。

茶室「光華」は、

比較的遊びの少ない「真」から「行」の間で

まとめられているのは、

武者小路千家の茶人の設計によることと、

なにより朝香宮鳩彦王の好みが

反映されているものと思われます。


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茶室「光華」に置かれていた資料を読むと、


光華は

小間・広間・立礼の三席に、水屋・立水屋・廊下・手洗所が付属している。

広間は四畳半切本勝手・九畳・上座床の間取りである。茶席のほか、懐石、小間の寄付待合としても使用できる。部屋の北側を手前座とし、その並びに一間床を設けている。床柱は赤松皮付。


小間は、四畳半上台目切本勝手、下座床の間取りである。手前座の風呂先に中柱を立て、中敷居と鴨居を入れ、その間を開放としている。床の間は台目幅の本床。床柱は栗六角のナグリ。床框は花梨に拭漆仕上げとなっている。


立礼席は、

約十畳分の広さをもち、南西隅には台目幅の松床を備え、北側には飾り棚を備える。床は敷瓦四半敷であるが、創建当初のものとは異なると思われる。

「光華」に立礼席に当初から専用の立礼席が設けられた理由はわからないが、当時の皇族は親善外交の一翼も担っていたことから、外国人の来客に対応するためだった可能性がある。また、朝香宮殿下自身、フランスでの交通事故により足に後遺症があったことから、正座での茶席が困難だった可能性がある。


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ガラス越しに西側廊下、広間を見ます。


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西側外観


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茶室・小間の外観


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茶室・小間の外観


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立礼席南側外観


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広間南側外観。

茶室は、ほぼ真南に面しており

非常に明るい空間を創り出しています。

障子を開けるとガラス戸を通して

日本庭園を借景とし、春夏秋冬の風情を

存分に味わうことができるとのこと。


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小間南側外観


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立水屋入り口


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立水屋の東側窓


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水屋北側窓


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手洗所北側窓


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杮葺きの腰葺き桟瓦葺の屋根。

杉板の杮葺きを銅板で包んでいます。

非常に珍しい工法であり、

その分大変手間のかかる仕事です。

しかしながら手間をかけた効果が

存分に発揮されており、

杮葺きのエッジが美しくでています。


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広間の内部空間


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広間の内部空間


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広間の内部空間


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広間の内部空間


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立礼席の内部空間

残念ながら、

室内は立礼席と立礼席から見る

広間のみが見学可能でした。


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光華の立礼席に置いてあった資料の中の

簡単な単線間取図を撮影し、

設計図として清書してみました。


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by y-hikage | 2018-11-07 15:18 | 建築巡礼 | Comments(0)
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