9月のとある週末、
吉村順三記念ギャラリーに行きました。
テーマは、
第71回「 モテル・オン・ザ・マウンテン 」
この飲食店を兼ねた宿泊施設は、
1956年、アメリカのマンハッタンから車で
1時間ほど走った山の上に建築されました。
山頂の人工池を中心に等高線に沿って
弧を描くように配置されています。
この吉村順三の作品は、
1枚目の見上げの写真と
男性が立っているバルコニーの
2枚目の写真のみが
今まで書物などに公開されており、
いわば謎の作品でした。
今回の展示では、
多数の写真と図面が展示され、
ある程度、
謎が解けたと思われました。
僕の中では・・・。
最終的な吉村順三のスケッチ。
このスケッチをもとに
所員が図面にしていったそうです。
遠景から見る
モテル・オン・ザ・マウンテン。
バルコニーでくつろぐカップル。
レストラン棟は
もっとも眺望の開けた一角に張り出し、
清水寺のような懸造りになっています。
屋根のかたちが入母屋造になっており、
きわめて「日本的」な意匠を
採用しているのには驚きました。
吉村順三の作品には
入母屋の屋根はめずらしく、
作品集をみると他には
「松風荘(1954)」
「新宮殿(1968)」
「神慈秀明会神苑祭事棟(1986)」
の3棟のみです。
この入母屋の屋根は、
ニューヨーク近代美術館に展示された
「松風荘」に感銘を受けた建主が、
急きょ設計を依頼したことと
無関係ではないと思います。
インテリアに障子を用いるだけではなく、
長押の存在も見受けられます。
吉村順三の断面図は、
例外なくプロポーションが美しいです。
次回の吉村順三記念ギャラリーは、
ニューヨーク近代美術館に建った
「 松風荘 」
お知らせのハガキにこのように書かれています。
「1954年に、ニューヨーク近代美術館の中庭に、吉村の日本住宅の原点であるとの思いを世界に知らしめた建物です」
次回が楽しみです。
11月3日(土)からです。