「 建築の日本展 」では、
1581年に竣工した
国宝建造物・茶室「 待庵 」が
原寸大で復元されていました。
設計は、茶人の千利休とされています。
京都の南、下山崎の妙喜庵にあり、
予約することで
外観および窓などから室内を
見学することができます。
が、室内には入ることができません。
建築の日本展の待庵は
内部に入ることが可能だったので
貴重な体験ができる
特別な企画であったと思います。
待庵は南面切妻造の杮葺屋根に庇がついた一間半×一間半の建物で、書院明月堂の畳廊下から一段落ちて南に続いている。
二畳隅炉の茶席に一畳側板入りの次の間がつき、さらに一畳の勝手の間(落ち間)がつく。
二畳の茶席は、南側に庇があって躙り口および連子窓がつき、東側に下地窓二つ(一つは掛障子、一つは片引障子)、北側に四尺の室床がつく。
室床は床の間の天井まで壁土で塗り廻し、床の間の壁の入隅も柱を見せずに塗り廻したものである。
西側は釿目のある方立を立て、襖二枚で次の間と仕切る。
西北の入隅は壁を塗り廻して、炉は隅炉である。
天井は床前小間半を枌板の平天井、手前畳の上二尺5寸通りもこれと直角に平天井とし、いずれも白竹吹寄の竿縁で押える。
躙口の上は東側に葺き下した化粧屋根裏で、竹棰、吹寄竹の木舞、枌板を葺く。
天井廻縁および壁留は竹、あて丸太、杉丸太、杉角などあり合わせの材料を使ってある。
(京の茶室・岡田孝男著より抜粋)
待庵に座ると、実際の大きさよりも
広く感じられると言われます。
待庵の写しである沼津の駿河待庵の
竣工間際に入ったときも広く感じました。
たとえて言うなら、
風船の中に入ったような
まろやかな空気感が身体を包みます。
なぜそう感じるのか・・・、
さまざまな要素が混じりあって
そう感じるのだと思います。
ではどのような寸法で構成されているのか
具体的に書いてみようと思います。
ところで製図室にあった
待庵の詳細な実測図
平面詳細、立面図、断面詳細などが
描かれた製本図が見つかりません。
岩手の実家にあるかもしれません。
この図面が手元にあれば
さらに詳しい寸法を書けたはずですが・・。
室床・・・。
床の間の畳:1154㎜×703㎜
床柱:66㎜角
落掛:35㎜×66㎜
床框:73㎜×40㎜
床内法高さ:1433㎜
床天井高さ:1590㎜
畳寸法:959㎜×1918㎜
※柱の寸法を75㎜と仮定すると、
二畳の茶室の柱芯寸法が
1993㎜×1993㎜になります。
尺に直すと6尺6寸の間取り。
関東間は1818㎜×1818㎜(6尺×6尺)。
(今回の記事のために図面を描いてみました)
掛込天井軒桁高さ:1818㎜
隅炉:406㎜×406㎜
仕切襖内法:巾1424㎜×高1485㎜
手前連子窓内法:1333×591㎜
次の間板畳巾:264㎜
釣棚畳よりの高さ:448㎜
釣棚大きさ:345㎜×300㎜
釣棚釣竹径:18㎜
奥連子窓竹連子:18㎜×9本
躙口内法:717㎜×785㎜
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躙口より東京の街並みを眺める・・・。
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(京の茶室・岡田孝男著に
記載された尺寸法をメートル単位で書き写しました。)
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