大町の家の正門は、
福井県に建っていた門を移築する計画です。
解体前の門は瓦葺でしたが、
銅板の一文字葺きに変更し
棟を瓦とする設計にしました。
この場合、
屋根の軒付(軒先)の意匠が
重要になることが、
設計を進めていくうちにわかってきました。
そしてわかってきたと同時に、
設計が非常に難しいこともわかってきました。
意匠的な目標は、鎌倉に建つ
本覚寺の手水舎の屋根ですが
なかなかその域に
到達することができません。
そこである程度図面を書きながら、
実物の門の屋根に
仮設で原寸の軒付のかたちを
実際に設置し検討することにしました。
設置してははずして、
作り直しては設置し・・・、
その作業を大工さんと進めています。
銅板の屋根の棟には鬼瓦がのるため、
鬼瓦とのバランスも重要で、
瓦と銅板葺きの工事を担当していただく、
静岡県藤枝市の渡邊商店さんに
実物大の鬼瓦の模型を
屋根にのせていただき検討しています。
移築する門には
両脇に袖塀がついています。
中央の柱の上に乗る
冠木(かぶき)と呼ばれる桁に
門の屋根がのります。
設計の参考のために
門だけが掲載されている本を買いました。
暗中模索の現在、
頼れるものはなんでも頼ります。
袖塀を修理している大工さん。
傷んでいる土台などを新しい材料に変更します。
原寸の軒付を設置した門の屋根・・・。
軒付の高さや
反り具合・箕甲のバランスなどを見ながら、
美しいかたちになるまで
繰り返し造ります・・・。
やっと美しいかたちが見えてきましたが、
鬼瓦をのせたところ、
そのとりあいが悪く再度造り直しです。
鬼瓦の模型をのせる渡邊商店の渡邊さん。
屋根のかたちが決まるまでもう一息です。
屋根のかたちが決まったら、
垂木まですべて解体し現場で組みなおします。
大町の家の現場では、
造園工事が進行中です・・・。