南禅寺方丈の軒裏
1月の末に見て歩いた
京都の国宝建造物の中で、
南禅寺方丈は、
三十三間堂に次いで
印象にのこるものでした。
日本の建築は屋根や軒先・軒裏まわりを
どう見せるかが設計の中で
特に重要とされています。
その意味で、
南禅寺方丈の軒まわりは国内でも
美しい部類に入るのではないかと
見学をしてみて思いました。
枯山水庭園に面した
こけら葺きのおおらかな屋根の美しさと
広縁のゆったりとした空間は
時の流れをわすれさせてくれます。
南禅寺方丈の特徴のひとつに
軒裏の意匠があるとも思いました。
屋根を支える部材のひとつである
垂木(たるき)は、目立つことから
多くの苦心が払われてきました。
垂木の並べ方や間隔だけでなく、
垂木の上下の配列も
一段(一本)、二段(二本)、三段(三本)と
建築の様式や格によって使い分けられます。
専門的にはこれを、
一軒(ひとのき)、
二軒(ふたのき)、
三軒(みのき)
と呼んで区別しています。
二軒の場合、
下の垂木を地垂木(じだるき)、
上の垂木を飛櫓垂木(ひえんたるき)
と呼んでいます。
南禅寺方丈の軒裏の垂木を見て、
「おや?」っと
思ったのは二軒に見えて実は、
三軒になっていることでした。
こけら葺きの屋根は段葺きになっていて、
その段葺きのちょうど境目のあたりで
三軒に切りかわり、
まるで後付けのように
薄い軒先(一軒)に変化しています。
あくまでも僕の仮説ですが、
普通に軒先をおさめると
軽快さが失われるため、
軒先を薄くするための
工夫なのではないかと思いました。
よく見なければわからない、
さりげないのですが
実は高度な技術が隠されている・・・。
この設計姿勢は共感するところが大きすぎます。
基本的なことですが、
実際の屋根の勾配と
軒裏に見える垂木の勾配はことなります。
軒裏に見える勾配はかなり緩勾配です。
この化粧勾配は
ものすごく大切な要素だと思います。
方丈の前の枯山水庭園。
小堀遠州の作庭だと言われています。
塀越しに見る、南禅寺方丈の屋根・・・。
とても美しいと思うのです・・・。
by y-hikage
| 2017-03-01 14:37
| 国宝建造物
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