宮岡家住宅の実測調査 その2
1998年、川越市の宮岡家住宅の
実測調査をしたことで
多くのことを学ぶことができたと思います。
その中でも屋根の棟の実測は
たいへん興味深いものでした。
川越市の店蔵に限らないことだと思いますが、
蔵の外観の要素のひとつである
屋根の棟の意匠は、
とても大切だとされています。
意匠だけではなくその大きさも
蔵の格式を決めるものとされてきました。
宮岡家住宅の棟も例外ではなく、
とても立派で大きいものでした。
道路から見上げると、
それほど大きくは見えませんが、
棟の際に立つと圧倒される大きさです。
約七寸勾配の屋根に乗る棟。
正式な名称ですが、
左右の雲のような形をしたものを
「かげ盛(かげもり)」といいます。
影もりは左官で作られ
鬼板(鬼瓦)を包んでいます。
かげ盛にはさまれた棟を箱棟といいます。
箱棟は瓦と左官で作られ、
がんぶり瓦・いんろう・厚のし瓦
などで構成されています。
屋根全景。
かげ盛り近景。
箱棟全景。
箱棟近景。
箱棟の高さは、
およそ1200㎜ぐらいあって、
厚みもあることから、
とてもまたぐことはできません
(高所の作業であることと、
実測中壊してしまいそうで・・・)。
棟全体の図面化は、
今回の実測では欠かせない作業でした。
ちょうど大工の弟が東京にいたことから、
水平垂直の定規を
箱棟の両脇と上部に立ててもらい、
実測の基準にすることができました。
箱棟の断面実測の野帳。
箱棟の正面図の野帳。
かげ盛りと鬼板(鬼瓦)の
図面化もとても大切です。
しかしながらその大きさは半端なく、
実測方法に悩みました。
ちなみにかげ盛りの向こうに見える塔は、
有名な「時の鐘」・・・。
鬼板(鬼瓦)のスケッチ。
鬼瓦の正面。
かげ盛りの実測方法ですが、
現場でA1サイズのトレーシングペーパーに
拓本をとって原寸を起こしました。
その現場で書いた原寸型板。
現在の日影アトリエの製図室に置いてみました。
実際のかげ盛りは、
全幅2100㎜×全高1480㎜あります。
かげ盛りと鬼瓦を清書した原寸図。
ロールのトレーシングペーパーに
つなぎ合わせて書いています。
製図室の床に置くのが精一杯でした。
かげ盛りと鬼瓦の原寸図を
製図室の天井面より撮影してみました。
左上に置かれている図面が
宮岡家住宅の実測図の製本図(A3見開き)。
清書した実測図。
清書した実測図。
妻面。
清書した実測図。
箱棟断面詳細。
宮岡家住宅の屋根から
川越市を見渡した18年前の写真。
とても懐かしく思います・・・。
by y-hikage
| 2016-08-02 11:26
| 宮岡家住宅の実測調査
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