ブログトップ | ログイン

日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

hikagesun.exblog.jp

大町の家という舟を編む

大町の家という舟を編む_c0195909_11525966.jpg
言葉の海は広く深い。

なにかを生みだすためには、言葉がいる。
岸辺みどりはふと、はるか昔に地球上を
覆っていたという、生命が誕生する前の
海を想像した。
混沌とし、
ただうごめくばかりだった濃厚な液体を。
ひとのなかにも、同じような海がある。
そこには言葉という落雷があってはじめて
すべては生まれる。愛も、心も。
言葉によってかたどられ、
くらい海から浮かびあがってくる。

松本先生は静かに言った。
言葉は、言葉を生みだす心は、
権威や権力とはまったく無縁な、
自由なものなのです。
また、そうあらねばならない。
自由な航海をするすべてのひとのために
編まれた舟。
「大渡海」がそういう辞書になるよう、
ひきつづき気を引き締めて
やっていきましょう。

(舟を編む  三浦しをん)

大町の家という舟を編む_c0195909_11525570.jpg
古本屋で奇妙なタイトルの本をみつけた。

「舟を編む」・・・・・舟は編むもの?
 
この不思議な言葉にひかれてこの本を買った。

読みすすめていくと、

玄武書房の編集室で

辞書を編纂していく物語だとわかっていく。

二千九百ページにも及ぶ辞書。

24万語の言葉によって辞書を編んでいく・・・。

最終的に「大渡海(だいとかい)」という辞書は、

14年かかって完成される・・・。

大町の家という舟を編む_c0195909_11524983.jpg
この物語を読んで、

「大町の家」のようだと思った。

十数棟の民家の部材を、

数えきれない数の柱や梁を、

一本たりとも同じ部材はなく、

部材は太く、三次元に曲がっている。

この部材たちを、

イメージする空間に調和するように、

構造的に堅牢になるように、

設計図をみながら、

選び、組み合わせていく・・・。

この再構成する架構に、

さらに古い建具が絡んでくるから、

余計にやっかいだ。

まさに「 架構と空間を編む 」作業だ。

四か月から五か月かけて部材選定をおこない、

今年のはじめに、部材選定が完了した。

現在、若い棟梁を筆頭に

墨付けと刻みを進めている。

気の遠くなるような作業だ。

大町の家という舟を編む_c0195909_11524494.jpg
大町の家という舟を編む_c0195909_11523820.jpg
大町の家という舟を編む_c0195909_11523488.jpg

大町の家という舟を編む_c0195909_1201547.jpg


大町の家という舟を編む_c0195909_121034.jpg

by y-hikage | 2016-05-06 12:02 | 大町の家 | Comments(0)
<< 今朝の朝ランは逗子海岸 山泰荘の造園計画 >>