ホテルオークラの茶室:聴松庵
ホテルオークラは谷口吉郎が
設計したメインロビーが有名ですが、
7階に素晴らしい茶室がありました
(過去形にするにはまだはやいのですが・・・)。
聴松庵(ちょうしょうあん)という茶室で、
名工:中村外二が手がけた茶室です。
四畳半の席は聞くところによると
裏千家の又隠(ゆういん)の
写しとされてますが、さだかではありません。
この茶室は谷口吉郎の手が
入っていないと言われておりますが、
いたるところの意匠に谷口好みが見えます。
この茶室は、ホテル解体時に
同時に解体されてしまうのでしょうか。
それともどこか別の場所に
移築されるのでしょうか・・・。
床の間の掛け軸「漁夫生涯竹一竿」は
一休宗純の筆の複製。
天井は小丸太の格天井。
葦や竹や蒲葉、ヘギi板などを使用しています。
四畳半の席から立礼席へと移動します。
立礼席の天井は
桐の市松網代で
編んだ隙間から銀箔が
見えるようにしています。
要所要所に使われている
繊細で美しい格子たち・・。
これらの部材は再利用されずに
捨てられてしまうのでしょうか・・・。
階段の意匠も谷口吉郎らしさがでています。
天井がとても低いロビーのブリッジは
とても居心地がいい空間です。
華やかな意匠のようにみえながら、
とても抑制しています。
ホテルオークラのロビーに限らず、
建築家・谷口吉郎の魅力を
語ることはとても難しい・・・。
一見無骨のように見えて
実は繊細で清らかで・・・。
普通に見えるのだけれど、
実は練りに練っているようで・・・。
なぜか、すぅーと心に入ってくるのです。
その理由がいまだにわかりません。
設計で迷っているときに、
最初に開く本は谷口吉郎のような気もします。
by y-hikage
| 2015-09-01 11:50
| 建築巡礼
|
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