6月2日、東京大学農学部弥生講堂で、
NPO法人木の建築フォラム主催
第8回木の建築賞の授賞式がありました。
僕が設計を担当した「手のひらに太陽の家」が
「木の建築大賞」を受賞することができましたので、
式に出席してまいりました。
授賞式は、受賞者のスピーチがあり、
とても緊張しましたが、
スライドを使用して、建築の概要を説明し、
そのあとに当日の朝に書いた文章を読みました。
その文章は、以下の通りです。
※
3月12日、津波でまちが流される映像を見た時、
岩手生まれの僕に、何かできることはないかと思い、
手元にあった手帳に木造仮設住宅のスケッチを書きました。
その数日後に、
宮城の「日本の森バイオマスネットワーク」の
支援活動に出会いました。
彼らの怒涛のような情熱と熱意と行動力が生み出したのは、
人と人とのつながりでした。
その人と人とのつながりが、県や町への
木造仮設住宅の提案を生み出し、
そして、それが、
「手のひらに太陽の家」の
プロジェクトにつながっていきました。
資金的になんの根拠もなく、
あるのは、被災した人々を一刻もはやく何とかしたい
という強い思いだけでした。
当初は雲をつかむようなプロジェクト。
はたして実現できるだろうかと
不安になるときもありましたが、
バイオマスネットワークの佐々木理事長の多彩な人脈と、
プロジェクトのコンセプトに、
多くの人々から賛同いただき、波あり谷ありでしたが、
確実に前進していきました。
昨年の7月に完成し、
主に放射能に苦しむ福島の子どもたちの
保養施設として利用いただいております。
運営資金に苦しみながらも、
なんとか続けていけるのも、
やはり多くの人々の支援があるからです。
僕は、今でも「手のひらに太陽の家」完成できたことは、
奇跡だと思っています。
そして、
この名誉ある「木の建築大賞」を受賞できたことも
奇跡だと思っています。
まさに、この受賞は、
「手のひらに太陽の家」にかかわった人々全員が
受賞した賞です。
ありがとうございました!!
※
3月12日に描いた三枚のスケッチ・・・
「木造仮設ユニット」
受賞の記念品。
丸い球体は、綿糸を漆で固めた造形。
台座は、アクリル板に朱漆仕上げ。
(デザインは、土岐謙次さん)