「小倉町の家」が住宅金融支援機構の広報誌「季報 住宅金融」にno22号夏号に掲載されました。
テーマは、間取り学のススメ「古民家に学び魅力を再発見する」
小倉町の家は、千葉県銚子市に建っていた安政三年(1854年)建築の茅葺き農家を千葉市内に移築再生した住宅です。
この写真は、解体時に発見した大黒柱のホゾに書かれた墨書きです。「安政三年三月吉日。棟梁 高神村権兵平」と書かれています。
安政三年と言えば、大河ドラマの天璋院篤姫を思い出します。
幕末から明治維新に向けての動乱の時期です。
安政の大地震は、安政二年(1855年)10月2日に発生しています。
上棟は、その5か月後なので、地震と家の普請とは、なにか関係があったのかもしれません・・・。
民家の間取り(構造)は、基本的に変更しておりません。
家族のこれからの住まい方を想像したときに、
この民家の間取り(構造)をそのまま生かしたほうが、生活に調和し、風景に調和すると考えたのです。
移築された千葉市内の敷地は、とても千葉市内とは思えない豊かな自然に囲まれた場所にあります。
谷津田と呼ばれ、
谷低地の田んぼとそれをとりまく斜面林や台地の畑が一体となり、
豊かな自然景観が広がり、多様な野生生物が生育・生息する空間を一望できる恵まれた場所です。
銚子市から移築されたTさん宅の母屋として住み継がれることになり、
その後、離れに新築で書庫が増築されました。
書庫は、母屋とのバランスを考慮にいれて、屋根の高さ、勾配、外観を決定しています。
「この場所に前からあったような家」という全体のコンセプトで設計しました。