柏崎市荻ノ島集落主催:茅葺き古民家保存プロジェクト
第1回茅葺き古民家ワークショップに参加してきました(その1)。
先週の7月27日から29日の二泊三日のワークショップでした。
「手のひらに太陽の家」の竣工式(開所式)が先週末におこなわれた翌週のあわただしいスケジュールのなかで、新潟県の柏崎市の山村、旧高柳町に行きました。
旧高柳町は、およそ20年前、僕が二十代後半から三十代前半にかけてかかわった思い出深い町です。
当時、過疎化に悩む町の対策として「じょんのびの里づくり構想(昭和63年)」を策定し、平成6年に整備された「じょんのび村」を核として、観光を中心とする地域づくりに取り組み始めました。
その構想の中で、「門出かやぶきの里」と「荻ノ島かやぶきの里」が計画され、僕は、この二つの地域で二棟ずつ、計四棟の茅葺の民家の建築の設計にかかわることができました。
とくに「荻ノ島集落」は、日本でもめずらしい「環状集落」を形成しており、水田を環状に取り囲むように、茅葺の民家が残っていた地域でした。
その集落に、新築の茅葺きの民家二棟を建築し、民宿として観光客に利用していただくという計画でした。
その二棟「荻の家」・「島の家」を当時、僕が設計を担当することになったのでした。
竣工したのは、1993年3月なので、建築後19年経過したことになります。
ところがこの19年間の間、この集落も少子高齢化が進み、空き家の茅葺の民家も多くなり、
この貴重な茅葺民家の農村風景を維持保全が大きな課題となってきたのです。
このような空き家となった茅葺き民家を集落として利活用していくために、他の地域の人たちと「結(ゆい)」の関係をつくり、将来に向けての維持保全活動の「力」にして行こういうプロジェクトが「荻ノ島茅葺き古民家保存プロジェクトなのです。
今回のワークショップでは、このプロジェクトの準備作業として、三棟の民家を実測調査することになりました。
そのメンバーは、芝浦工業大学の蟹沢研究室の学生を中心に、設計者や大工さんで構成される多様なメンバーでおこなわれました。
まずは、現状の荻ノ島集落を見ていきたいと思います。
写真右手の二棟が19年目に完成した「荻の家」と「島の家」です。
水田を取り囲むように環状のみち「もとみち」がはしり、その道沿いに茅葺きの農家が点在する独特の風景です。
中央に「なかみち」が通っているのも特徴のひとつです。
水田からみる茅葺きの民家はとても美しいものです。
正面右手二棟が、「荻の家」と「島の家」です。
左の茅葺きの家は、ギャラリーやイベント施設として2000年に完成した「陽の楽家(ひかりのらくや)」とよばれる施設です。この施設は、ガラス張りの鉄骨造のような木造に茅葺きの屋根をのせた斬新な施設です。設計は、隈研吾さんです。
この集落の中で、とても目立つ象徴的な茅葺きの民家です。
集落の中でめずらしいカブト造りの屋根です。
カブト造りの民家の近景です。
屋根の形式はともかくとして、北陸地方特有の「中門造り」をしています。
荻ノ島集落における「中門造り」の特徴については、次回の記事で説明をさせていただこうかと思います。残りは、集落の風景を味わっていただければ幸いです。
次回の連載に続きます。