前回の福井県での古材調査は二月末でした。
あれから一ヶ月が過ぎました。
一ヶ月前と今では3月11日を境に世界が変わりました。
津波のあとの被災地の人々のことを思うと心が破れそうです。
原子力発電の問題も放射線の津波にならぬことを歯を食いしばって祈るばかりです。
このような思いを持つものは、今ここに生きるすべて人々の共有の思いであることは、
友人との普通の会話や、福井に来て、福井の人との声からも、その真剣な思いが伝わり胸が震えます。
津波によって生命が流され、家が流され、町が流されました。
その場所に居なかった僕たちは、共に心が流され、途方にくれそうになっています。
でもこのままだと未来という時間が流されてしまいそうです。
だから静かな強靭な意思を持っていたい。
まずは被災地の人々が、気持ちよく眠れる場所をつくりたい。
今この福井で百年ぐらい前の部材を調査しています。
いつもは、その部材がもっている時間の蓄積に負けそうになります。
けれども、今はそんな時間もちっぽけに感じてしまうほどです。
福井も春が近い。雪もだいぶ溶けた。
季節の移り変わりが喜びに感じるように、
被災地で、
一日もはやく、
ふぅーと息がつける、心地いい場所をつくりたい。