ミヤザワ君がアイフォンで撮影した屋久島の風景
屋久島の縄文杉がいる森の川。この島はどれだけの水に満たさられているのだろうか。
縄文杉と出会う。
予想以上の巨木。圧倒的な存在感がある。彼はただ存在するだけでその場所に静謐(せいひつ)な空間を創りだしていた。
中略
樹齢が何年かなんて問題じゃないんだ。
「大きい」それが純粋にすごい。この樹が、この巨大な体を維持するために、根を張り巡らし、地中から水分を吸い、そして枝を伸ばす。
太陽の光を浴びて光合成をし、酸素を吐き、そして成長を続ける。この生きるために繰り返される営みに心を打たれるのだと思う。
たゆまない、植物の生の営み。私は動き回り、激しく消費し、たぶん100年も生きないだろう。
だけど植物はそこにじっと根をすえて静かに長生きする。
私とは違う生き方を選んだ生物。
縄文杉はその植物たちの象徴にすぎない。
この島全体が、植物の島。人間と違う進化を選んだ生き物の楽園。
そうなんだ。
この島のどこかに宝物があるわけじゃない。
屋久島そのものが、生命の島なんだ。
(ひかりのあめふるしま屋久島 田口ランディ作 より)