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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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目黒区総合庁舎(旧千代田生命保険相互会社本社ビル)の空間構成について:その5

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この幾何学的の格子(多少丸みをつけていたにせよ)と抽象的な中庭。この中庭はおよそ50mm角ぐらいのピンコロ石が敷き詰められ、ヘンリームーアの彫刻が一体置かれているだけの何もない、人が立ち入ることのできない余白として設計されました。正面突き当たりは池になっていますが中庭よりも4mから5mぐらい下がっているためにその存在は正面からはわかりません。池は社員や来訪者のための「憩い」ですから中庭の抽象とは相反するものです。村野藤吾は敷地の高低差を生かしその相反する要素を同居させたのです。
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それではなぜ生命保険会社の本社ビルにこれだけ予算と手間をかける必要があったのでしょうか。建築の芸術性を会社のブランド力に結びつけようとする発注者と設計者の意図に他なりません。もうひとつ付け加えるとこの建物は完成当時から目黒区役所に変わるまで「千代田生命」という看板がかけられたことはありませんでした(ほんの一時の例外を除き)。
by y-hikage | 2010-06-09 10:04 | 建築巡礼 | Comments(0)
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