
唐招提寺金堂を南大門から見る。唐招提寺は律宗(りつしゅう)の総本山です。律宗の開祖は鑑真(がんじん)で759年に戒律の「道場」として建てたのが始まりです。奈良時代に経蔵(きょうぞう)、宝蔵(ほうぞう)、講堂(こうどう)が建てられ、その後に鑑真の弟子である如宝(にょほう)が金堂を造りました。定かではありませんが一説によると如宝が二十代の若さで設計されたと書物で読みました。

金堂を正面から見る。唐招提寺金堂の魅力は「簡明な形態と端正な比例」にあります。奈良時代末期の金堂は現在の屋根の形よりもゆるい勾配だったとされ江戸時代元禄年間の改修で現在のようなふくらみあるかたちになったようです。僕個人的には現在の姿のほうが美しいと思います。正面の列柱はその昔に金堂に回廊が接続していたことによるようですが、この列柱が金堂の美しさをゆるぎないものにしています。

金堂を妻面(つまめん:建物の短辺方向から見た姿)から見る。こうして見ると軒の出が建物の半分ぐらい出ているように感じます。
風格をもたせるための意匠でもありますが建物を風雨から守るにはこれぐらい必要なのです。軒の出をいかに深くできるかの工夫が構造を進化させその構造をいかに美しく見せるかが大きなテーマでした。金堂のバランスの良さは圧倒的です。同じ設計者として如宝のことを思うと僕はまだまだ勉強が足りないと思います。