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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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江之浦測候所に行きました・その7

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「 江之浦測候所 」に茶室がありました。

行く前の下調べが少ないままに訪ねたので、

その茶室が

「待庵」の写しであることに驚きました。

待庵は茶人の千利休の作で国宝建造物です。

建築は天正十年(1582)とされています。

茶室建築の大家、中村昌生氏が言う

「 侘びを表現した二畳敷であり、

力強く雄大にも感じられる空間 」

を感じることができます。


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茶室「雨聴天」に向かう道。

上空の建築は、

「夏至光遥拝100メートルギャラリー」



ここでまた写し作者である

杉本博司氏の言葉をかりてみます。

      ○

茶室「雨聴天」は千利休作と伝えられる「待庵」の本歌取りとして構想された。

本歌取りとは古典を引用しつつ新作にその精髄を転化させる手法を言う。

「待庵」は利休の目指した侘び茶の一つの完成形と目されている。

それは2畳室床という極小空間の内に、壁面の木舞の窓から差し込む光の陰影の中で、見事な空間が構成されているからだ。

当時使われた素材は銘木でもなくあり合わせの材であり、壁も質素な土壁だった。

そこでは意図的に山居に籠る聖のような「貧」が演出されたのだ。

私はこの待庵の寸法を一分の違いなく写した。

小田原文化財団のあるここ江之浦の地には、同じく利休作と伝えられる茶室「天正庵」跡がある。秀吉北条攻めの際に諸将慰撫のために秀吉が利休に命じて作らせたと伝えられる。利休切腹1年前の天正18年(1590)のことであった。

私はこの土地の記憶を茶室にも取り込むことにした。

この地にあった錆果てた蜜柑小屋のトタン屋根を慎重に外して、再度茶室の屋根としたのだ。利休が今の世にいたら使ったであろう素材、私はそれを錆びたトタンと見倣したのだ。

天から降る雨がトタンに響く音を聴く。

この茶室は「雨聴天」と命名された。

茶室の躙口には春分秋分の陽光が日の出と共に躙口から床に差し込む。その時、躙口前に置かれた工学硝子の沓脱石は光を受けて目眩く輝く。


(江之浦測候所パンフレットから引用)


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「石造鳥居」


鳥居の古墳を残す例として、山形県小立部落にある重要文化財指定の石鳥居がある。

この鳥居の形式に準じて組み立てられたのがこの石造鳥居である。

柱には中世以前を思わせる矢跡がある。踏込石には古墳石棺蓋石が使われた。古墳蓋石は太古に二分割されたと思われる。


(江之浦測候所パンフレットから引用)


      ○


茶室「雨聴天」の軸線は、

春分秋分の光の軸線と一致し、

その光は「石造鳥居」を貫き

躙口から床の間の壁に照射します。


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躙口前の工学硝子沓脱石。


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塵穴も工学硝子でできていました。


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二畳敷の茶室。

手前座に隅炉が切られています。

床の間には、

「日日是口実」と書かれた

軸が飾られていました。

本来は「「日日是好日」のはず・・・、

蜜柑の豊作を願う意味からでしょうか。


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床柱、落し掛け、床框の材料に

古材を使用しています。

蜜柑小屋の材料を転用しているのでしょうか。


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次の間。

畳一枚に板畳が付きます。


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蜜柑小屋で使われていた

波板鉄板を屋根材としています。


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「 明日香石水鉢 」


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「 鉄宝塔 」(鎌倉時代)



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「 旧奈良屋門 」



箱根宮ノ下にあった

名旅館「奈良屋」の別邸に至る門。

平成13年(2001)の廃業に伴い

箱根町より寄贈された門とのこと。

門の袖塀は版築で造られています。

床にむくりのついた瓦を

四半敷で敷いています。


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江之浦測候所に行きました。

その8に続く・・・。


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# by y-hikage | 2019-02-18 13:27 | 建築巡礼 | Comments(0)