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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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吉里吉里忌と井上ひさしさんの書斎

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413日・14日、


山形県川西町の


フレンドリープラザで開催された


「井上ひさしの書斎」の開設披露式と


10回「吉里吉里忌」に


参加することができました。



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川西町のフレンドリープラザ・・・。


昨年の吉里吉里忌では、


桜の花に雪がふりました。



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山形県川西町は山形県南部の


置賜地方のほぼ中心に位置しています。


川西町には、劇場・図書館・遅筆堂文庫で


構成される


「フレンドリープラザ」があります(1994年開設)。


プラザ内の「遅筆堂文庫」は、


川西町出身の作家・劇作家である


井上ひさしさんから寄贈された


22万点以上の蔵書や資料を所蔵する施設で、


井上ひさしさんの業績を


展示するコーナーも併設されています。


フレンドリープラザでは、


年に一度、201049日に永眠した


井上ひさしさんを偲ぶ文学忌


「吉里吉里忌」が開催されます。


没後5年の2015年、


縁あるゲストが様々な視点から


井上ひさしさんを語り継ぎ歌います。


ぼくは、昨年2023年の4月から参加し、


今年の2024414日の


10回目も参加することができました。


昨年の9回目は、


読書家としても知られる小泉今日子さんによる


講演がおこなわれました。


今年の10回目では、


ジャズピアニストの小曽根真さんと


女優の神野三鈴さん夫妻が


井上ひさしさんの思い出を語り、


小曽根さんのピアノ演奏や


神野さんの朗読がありました。


この演奏・朗読では、


井上ひさしさんのお芝居である


「組曲虐殺」の中の


「豊多摩の低い月」


「信じて走れ」


「胸の映写機」が演奏・朗読されました。


聴きながら「組曲虐殺」の


お芝居が思い出され、


涙をこらえるのが難しいほどでした。



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前日の413日は、


フレンドリープラザの遅筆堂文庫の中に


「井上ひさしの書斎」の


オープニングセレモニーがありました。


202449日は、


井上ひさしさんの命日でもあり、


生誕90年の年でもあります。


1989年に鎌倉に居を移したときの、


書斎の机まわりがそっくり再現されました。


手の届く範囲に


ありとあらゆる辞書が並べられ、


机の上には、数十本の赤鉛筆や万年筆、


インクなどこだわりの文房具や


原稿用紙が並べられました。


実は1989年に竣工した、


井上ひさしさんの自宅は、


日影良孝が設計させていただいたものです。


その後、離れに


2006年に増築した書庫も


日影良孝が設計いたしました。


主屋のリビングは石川県加賀市から移築し、


書庫は明治期の所沢の土蔵を


移築したものです。



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井上ひさしさんの奥さまから


遅筆堂文庫の中に書斎が再現される


という計画があることの連絡を受けたのは


2020年の夏のことでした。


その連絡を受けて、


遅筆堂文庫の中への書斎再現の


基本設計をおこない模型を作って、


奥さまに渡しました。


遅筆堂文庫の既存の図面に


書斎の平面と断面をスケッチしたところ、


奇跡的に、


寸法を変えずに、


そのままの姿で


再現できることがわかりました。


まるで川西町の遅筆堂文庫が、


鎌倉の井上ひさしさんの書斎を


呼んでいるかのようでした。


ぼくの基本設計をもとに


㈱本間利雄設計事務所の


実施設計及び工事監理によって、


2024413日に


「井上ひさしの書斎」が開設されました。


ぼくの処女作である


鎌倉の井上ひさし邸(鎌倉の大屋根)が


完成してから今年で35年がたちました。


ぼくが設計した書斎で


井上ひさしさんの数々の名作が


生まれたことを思うと、


とても誇りにおもいます。


ましてやその書斎が


遅筆堂文庫に再現されたことは、


建築家冥利につきます・・・。


「井上ひさしの書斎」は、


これから一般に公開され、


椅子に座ったり、


机に触れたりできるそうです。


ガラス張りではない開かれた書斎として、


これから多くの人たちに


愛されていくことでしょう・・・。



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鎌倉の書斎の


平面寸法・断面寸法・


部材寸法・窓の大きさなど、


寸分そのままに再現されています。


設計したのは30年以上前のことなので、


当時の図面と食いちがいがないかどうか、


現況実測をおこなって


基本設計の図面を書きました。



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せっかくなので


説明書きを読んでみます。


◇◇◇


1989(平成元年)、


井上ひさしが鎌倉に居を移したときに


しつらえた書斎を再現しています。


屋根裏部屋のような雰囲気をそのままに、


また机周りの書籍は、


床置きのものも含め全て


井上の手によって並べられたとおりに


復元しています。


机、ペン立て、文鎮、ペン皿などは


度重なる引っ越しをともにした愛用の品です。


机天板左側のいくつかの煙草の焦げ跡は、


執筆に集中し灰皿から落ちた


煙草に気が付かなかったものと思われます。


万巻の本と愛用品に囲まれ、


数多の作品を書き上げた


場所・井上ひさしの書斎を


ご堪能してください。


(書斎約23㎡の内、約13㎡を再現)


◇◇◇



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書斎を再現するにあたり、


構造材に地元産の杉を


使用するようにお願いいました。


床は、耐久性を考慮して


無垢の栗を張っています。


壁・天井は、


リボスのスムーズオーガニックフィニッシュ


(イケダコーポレーション)を使用し、


木部はリボスのカルデット2回塗としています。



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2024414日の


川西町フレンドリープラザの


桜は満開でした・・・。



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日影アトリエ製図室に、


井上ひさしさんの家が表紙と共に掲載された


「すばる(19922月号)」があったので、


転載してみました。


当時の写真も掲載されています・・・。


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# by y-hikage | 2024-04-17 12:53 | 鎌倉の大屋根 | Comments(0)