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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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大磯の吉田茂邸

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12月のはじめ、

大磯に建つ旧吉田茂邸の見学に行きました。

旧吉田茂邸は、

吉田茂元首相(18781967)の住宅でした。

吉田茂の死後、

邸宅は20093月、

原因不明の出火によって焼失しました。

大磯町は吉田茂邸の再建のために

「大磯町旧吉田茂邸再建基金」を設け、

全国から2億9千万円の寄付が募り、

総工費4億4千万円をかけて

再建工事を完成させました。

工事完成後、

平成294月から一般公開されました。



吉田茂邸は、

15年前か20年前か

忘れてしまいましたが見学に行きました。

その時の印象はずいぶん豪華な住宅だなあ・・・

と思ったぐらいで

曖昧な記憶ぐらいしか

残っていませんでした。


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吉田茂邸は、

明治171884)年、

養父で横浜の豪商だった吉田健三が

建てた別荘をもとに、

吉田茂が8回ぐらいの

増改築を行った住宅です。

昭和191944)年頃から

大磯の住宅を本邸と定め、

昭和20年代に

建築家・木村得三郎(18901958)の

設計によって応接間棟

1階の応接間・2階の書斎・玄関・食堂)

を建築しました。

さらに1961年、

日本の数寄屋建築の大家である

吉田五十八(18941974)によって、

新館と呼ばれる中2階および2階、

あわせて玄関と食堂が改築され

吉田茂邸の

外観の主要部分が形成されました。

最初の建築家である木村得三郎は

東京美術学校(現・東京藝術大学)の

出身(1914年卒)で

大阪松竹座や高岡市立博物館などを

設計しました。

吉田五十八も同じ

東京美術学校の出身(1923年卒)で

ほぼ同時代の建築家です。


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僕はてっきり吉田茂邸は、

全て吉田五十八の設計だと

思いこんでいました。

ところが今回見学してみて、

吉田五十八的ではない部分を感じ、

違和感が残り成り立ちを調べました。

吉田茂邸は

吉田五十八の増改築設計であることを知り、

違和感に対して納得ができたのですが、

白木のしかも総ヒノキ造りの新築の状態にも

違和感を感じました。

今まで見た吉田五十八の作品は、

時間の経年変化による

杉の侘びた表情というのが

「空間の決まり文句」で、

新築の吉田五十八を理解することが困難でした。

それは建築当初、

彩色がほどこされていた

法隆寺を理解できないことと

同じことかもしれません。



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旧吉田茂邸の復元設計は

文化財工学研究所がおこない、

施工は松井建設がおこなっています。

焼失前の建築に詳しくないことと、

原設計の図面も見ていないので、

よくわからないのですが完成度が高く、

よくもここまで復元したなあ・・・

という印象でした。


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下地窓の格子を

アルミのパイプとする

吉田五十八のお家芸。


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繊細な小間返しの格子。


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玄関引戸の戸当たりの詳細。


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玄関ホール

豪華の照明のデザイン


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横繁のみの障子とアールデコ風の照明。

天井の材料の使い方が上手・・・。


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はっかけの窓枠




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中庭と竹・・・。

まさに吉田五十八的。


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中庭に面するアルミパイプのスダレ。


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豪華な食堂の照明


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食堂の引き込みガラス戸


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引き込みガラス戸の敷居の納まりが独特



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豪華な応接間の暖炉


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応接間の階段の親柱が箱根的。


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2階の和室(書斎)の欄間がポリカーボネート


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浴室の浴槽が舟のかたちをしていました。


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15年前か20年前に行ったときの写真。


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兜門(かぶともん)とよばれる内門。


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軒先に曲線状の切り欠きがあり、

兜のかたちに似ていることから「兜門」と呼ばれています。


ところで吉田五十八が設計した

住宅及び画室系で

現存しているものを知るかぎりを並べてると、


鏑木清方画室・再建(鎌倉市)

小林古径画室(新潟県上越市に移築)

杵屋六左衛門別邸(熱海市)

岩波茂雄別邸(熱海市9

吉田五十八自邸(二宮町)

梅原龍三郎画室(清春芸術村に移築)

山口蓬春画室(葉山町)

梅原龍三郎邸(新宿区)

吉田茂邸(大磯町復元)

吉屋信子邸(鎌倉市)

北村邸(京都)

猪股邸(世田谷区)

岸信介邸(御殿場市)

秩父宮邸(港区)



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岸信介邸(修復前に見学)


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猪股邸


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吉屋信子邸外観


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吉屋信子邸内観

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玉堂美術館


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山口蓬春画室外観


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山口蓬春画室内観


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北村邸・・・。


北村邸は吉田五十八の住宅作品の中で

最高傑作であると僕は考えています。



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# by y-hikage | 2018-12-15 12:32 | 建築巡礼 | Comments(0)