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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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カテゴリ:建築巡礼( 136 )

吉阪隆正設計の三澤邸・その2

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建築史家の藤森照信氏が連載している

TOTO通信の「 現代住宅併走 」の

32回目は、

建築家・吉阪隆正の設計の

「 三澤邸 」でした。

この記事を読み、

三澤邸は神奈川県三浦郡葉山町に

建っていることをはじめて知りました。

吉阪隆正は、ル・コルビジェの弟子。

早稲田大学教授でもあり、

U研究室のリーダーでもありました。

吉阪隆正は1917年に生まれ、

1980年、63歳の若さで病没しました。

葉山の三澤邸は、

1975年に着工し10年後の1985年に

現在の姿となった住宅です。

すなわち三澤邸は

吉阪隆正の遺作となる作品です。

建主の三澤氏は、

葉山のこの土地を

衝動買いのように購入したあと、

設計を吉阪隆正に

いっさい任せたとのことです。

着工後は、U研究室のメンバーが、

現場でキャンプをしながら

設計監理と自力工事をしながら、

10年かけて現在の姿にしていったそうです。

三澤氏に聞いたところ、

このメンバーの中には、

象設計集団の

富田玲子さんなども含まれていたそうです。

〇〇〇 〇〇     〇

三澤邸は、南側に葉山の山並みがせまり、

遠く西側に富士山を見ることができます。

初めておとずれた吉阪隆正は、

ひとめ見てこの地を惚れ込み、

設計当初は建物を全部、

土の中に埋めてしまおう

という構想もあったと聞きました。

写真で見る三澤邸は、

変わったかたちをした住宅だなあ・・・

と感じたのですが、

一目見た瞬間、

そのあまりのキュートさに

好きになってしまいました。



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1階平面図


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2階平面図


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3階平面図

〇〇〇 〇〇     〇

断面図は

ディール掲載の図面をトレースしたもの。

平面図は

TOTO通信掲載の図面を赤ペンでなぞったもの。

見学後になるべく図面を

手書きで復習するようにつとめています。

〇〇〇 〇〇     〇


平面は当時としては

珍しく分棟型としています。

藤森照信氏の言う

「分離派住宅」の先駆けとなる住宅です。


〇〇〇


1階平面図を見ると、

中央のピロティ(屋外)を中心に、

四角い客室と

台形をした子供室と

丸いかたちをした書庫に

分かれています。


〇〇〇


ピロティ―の上の2階は、

テラスを囲むように四角い食堂、

台形の居間、

丸い書庫の上の書斎に分かれています。

玄関はなく、

それぞれテラスから入るようになっています。


〇〇〇


食堂の上の3階は

寝室と浴室としています。

(完成当時は食堂の階と寝室の階以外は土足)


〇〇〇


丸いかたちをした書斎は、

タラップによってしか

入ることができないようになっていて、

なんと使いにくい

計画なのだろうと思いましたが、

タラップを降りたその空間は、

居心地がよく、

まわりと隔絶した別世界のようでした。




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食堂棟の南側は、


放物線を描くように、

上にいくにつれせり出していきます。

この曲線の具合が、

屋根の庇の役目をはたし、

太陽の光をうまく調整してくれると

三澤氏が話してくれました。



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食堂と寝室の窓


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居間の入り口


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3階の窓から、

テラスを見おろします。

左が居間。

右側の丸い形をしたのが書斎。


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書斎の扉の詳細。


この扉を開けると、

書斎におりるタラップが現れます。


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まさにU研究室らしい、

手すりのデザイン。

三澤邸では、ところどころに

鉄骨で製作した部分があります。

これらはすべて

造船所に作らせたものと聞きました。


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見学の途中、

三澤氏が完成当時の

白黒写真を見せてくれました。

それらの写真を撮影しました。

この写真は居間の南側展開。


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居間と台所


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居間と台所


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1階の客室


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客室から階段室に抜ける扉


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寝室の南側の斜めの窓。

上部はガラスのFIXとしており、

その下側が内倒しの窓になっています。


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正面左に見える円筒形の物体は浴室の扉。


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円筒形の物体をくるっと回すと

バスタオルなどを収納できるような仕組み。


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円筒形の物体と床は桜の木。


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3階の浴室


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丸い形をした書斎を見おろします。


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右手前に見える鉄骨の棒が、

書斎におりるタラップ。


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タラップは、

床を半円にくりぬき、

1階の書庫へとおりていきます。


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書斎の大きな机から葉山の山並みを眺めます。

すばらしい眺めです。

そしてなんとも居心地のいい空間。

この書斎をそのまま欲しくなりました・・・。


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書斎の天井は、

断熱材のスタイロフォーム張り。

けして壊れた天井ではありません・・・。

照明器具は当初のまま。



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1階から3階まであがっていく階段室。

90㎜角の木を

鉄骨の丸鋼に固定して手すりとしています。

ただのデザインだと思ったのですが、

木の上の小口に

手のひらをのせながら階段を上ると

気持ちがいいことがわかりました。

すべてを考えつくしています・・・。


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1階の子供室の入り口。

両開きの扉をしめると、

白い壁のように見えます。

ドアノブがないことが

不思議だと思っていたのですが、

扉の下の小さな丸い穴に指を入れて

開閉させる仕組みだとわかりました。


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扉の敷居まわりの詳細。

床は耐火レンガ敷きで当初のまま。


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2階の居間の開口部の詳細


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今回の見学会は、

JIA日本建築家協会関東甲信越支部

住宅再生部会の大沢悟郎さんから

誘われて実現しました。

〇〇〇 〇〇     〇

三澤邸は、

理屈抜きで素晴らしい建築だと思いました。

吉阪隆正の代表作である、

八王子大学セミナーハウスは、

「 手の痕跡 」が強く表に出ていて、

それはそれですごいと思うのですが、

三澤邸は、

「 手の痕跡 」が

上手に建築の中に染み込んでいて

優しい建築になっていました。

三つの分棟の間合いもスケール感もよく、

「 包まれ感 」が気持ちいい建築でした。



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思えば、実物を見たことがある

吉阪隆正の作品は、かなり少ないことがわかりました。


「 八王子大学セミナーハウス 」



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学生の頃に、

吉阪夫人にあげてもらった「 吉阪隆正自邸 」



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学生時代に探し当てた「 ビィラ・クック 」

そのほかに写真にはないのですが、

「 アテネフランセ 」


ぐらいでしょうか・・・。





吉阪隆正の言葉⇒





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by y-hikage | 2017-12-14 11:55 | 建築巡礼 | Comments(0)

吉阪隆正設計の三澤邸・その1

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主に逗子・葉山地域のお店に置かれている

フリーマガジン

「湘南ビーチFMマガジン」

このフリーマガジンは時々、

興味をひかれる特集を組みます。

VOL44は、「 時を紡ぐ家 」

見開き2ページには、

葉山の「 田邉邸 」

葉山の「 加地邸 」

葉山の「 三澤邸 」

の住宅が掲載されています。

葉山の「加地邸」の設計は遠藤新。

葉山の「三澤邸」の設計は吉阪隆正。

三澤邸の存在は知っていても、

場所が特定できず

外観すら見ることができないと

思っていましたが、

幸運にも最近見学することができました・・・。

次回は三澤邸の記事を書こうと思います・・・。


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by y-hikage | 2017-12-13 19:00 | 建築巡礼 | Comments(0)

千利休の「 竹自在 」

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港区白金台にある畠山記念館で、

「 近代数寄屋の交遊録・・

益田鈍翁・横井夜雨・畠山即翁 」の

展覧会が開催されていることを知り

観に行きました。

展示では益田鈍翁作の作品などが

70点展示されていて、

どれもが素晴らしいものでしたが、

その中で最も価値があると思ったのは、

千利休作の「竹自在(たけじざい)」でした。

桃山時代の作品ですが、

そのかたちは、

一点の乱れもなく、

みごとなプロポーションが完成されていました。

はねつけるような緊張感を放ちながら、

どくとくの柔らかさをはらんでいました。

撮影不可なので、

ラフスケッチを描き、

製図室で清書してみました。


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展示室には、

四畳半の茶室「省庵」が設けられています。

その茶室の床の間。



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実は、

畠山記念館を訪ねたのははじめてでした。

前々から行きたいと思っていました。

なぜなら、

園内に茶室が建っており、

益田鈍翁などの茶人と深い交流があった、

数寄屋大工・木村清兵衛が造った

茶室を見に行きたかったからです。

木村清兵衛は、

かつて実測調査をおこなった

駒込の家の茶室を手掛けています。

長い期間の調査だったので

深い縁を感じるのです。


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茶室は5棟あり、

どれもが閉じていましたが、

下見と思いあきらめました。

次回来るときは、

特別公開の日に合わせようと思います。


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畠山記念館を訪れたのは、

夕方に近いどんよりとした曇り空でした。

そのどんよりとした光の中でも

園内の紅葉はきれいでした。

〇〇 〇〇       〇

数寄屋大工・木村清兵衛については、

もう一度、振り返って

記事にしてみようかと思っています。

駒込の家の茶室の

膨大の枚数の実測野帳と写真は、

岩手の実家に保管しています。

正月の帰省でとりだしてみようかと

思います。


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ところで、CASA BRUTUS の 

201711月号の特集が、

杉本博司が案内する

「おさらい日本の名建築」でした。

ひさしぶりに優れた特集だと感心しながら、

ページをめくっていたら、

6人の数寄屋大工名工リストに

木村清兵衛が選ばれていました。

驚くと同時に親近感がわいてきました。


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木村清兵衛の設計施工の駒込の家の茶室。




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by y-hikage | 2017-12-04 11:40 | 建築巡礼 | Comments(0)

新国立美術館の安藤忠雄展

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新国立美術館で開催されている


安藤忠雄展に行きました。

会期終了間際だと、

かなりの混雑が予想されるため、

平日の1130日の金曜日、

開館時刻30分過ぎに行きましたが、

すでに展示会場は、人々で溢れていました。

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原寸大で作られた光の教会に入り、

その見事なスケール感に圧倒されました。

やはり建築は、

図面や写真だけだとわからないものです。

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パネルに書かれた


「 あるものを生かして、ないものをつくる 」

という安藤忠雄の言葉に感銘しました。



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紅葉と

新国立美術館のガラス曲面の調和が美しかった。

訪れた時期が良かったのかもしれません。

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せっかく東京に来たので、

安藤忠雄展の後に、

恵比寿で坂本龍一のドキュメント映画

CODA 」を観て、

そのあとに畠山記念館で開催されている

「近代数寄屋の交遊録」を見に行きました・・・。

比較的忙しい一日でした・・・。



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by y-hikage | 2017-12-02 11:33 | 建築巡礼 | Comments(0)

代官山に「 ツギテプロジェクト 」を見にいきました。

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先週の金曜日の午後、

SDレビュー展に行きました。

場所は代官山のヒルサイドテラス。

今年のSDレビュー入選作に

岡山県西粟倉村の

「 ようび建築設計室 」の

「 ツギテプロジェクト 」の入選作を

見ることが目的でした。

「 ツギテプロジェクト 」は

9cm×9cmの地元産・間伐材の杉を

およそ5000本を使用し、

大規模木造を構築するという

壮大なプロジェクトです。

「 三方格子 」という

単純かつ合理的でありながら

今まで誰も気が付かなかった

木組みによって構造を

成立させるというものです。

この三方格子の手刻みは

参加型ワークショップによって

進められているということで、

設計コンセプトから工法まで含めて

総合的に

「 開かれた共同体 」によっていることが

二重三重のおどろきです。

しかも素晴らしい木造空間を実現している。


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この「ツギテプロジェクト」の

展示パネルの一部を読んでみます。


※ ※ ※ ※


「集落と暮らしと門」

ようびは、職能集団。家具製作、デザイン、建築、企画など多様なプロジェクトを抱えるが、もとは、木工の「業(わざ)」を生業として、生まれたチームである。その土台である工房との上に、暮らしがある。ようびを訪れる人は門型の特徴的なファサードで出迎える。森からの木が形を変えて、町へ出ていく。人々が町から森へ導かれていく、出会いの門となる。また、その境界として、滞在や交流の役目を持つ。対して、集落のある北側からは、棚田と屋根が連なり、私たちの暮らしが、低層で見えるよう計画した。


※ ※ ※ ※


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三方格子の縮尺三分の一の模型が置かれ、

自由に組んでいいと書かれていたので、

組んでみました。

意外と難しかった・・・です!

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三方格子の原寸模型と、

ようびの「 ホタルスツール 」。

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「 ツギテプロジェクト 」のコンセプトが

わかりやすく描かれた

親しみがこめられた絵・・・。

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西粟倉村に行ってみたくさせる俯瞰模型。

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「 ツギテプロジェクト 」・・・。

参加してみたいです。


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by y-hikage | 2017-09-30 11:07 | 建築巡礼 | Comments(0)

鯖街道に近い神宮寺

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911日の福井の民家の実測の前日、

福井県で唯一の国宝建造物を見ようと

東小浜駅を昼前におりました。

前回の琵琶湖に浮かぶ竹生島の国宝建造物には

船で行きましたが、

今回は東小浜駅で

レンタル自転車を借りていきました。

そしてなにを勘違いしたのか、

目的の国宝建造物「 明通寺 」ではなく

「 神宮寺 」に行ってしまいました。

神宮寺本堂も美しい和様の建造物で

見学できた甲斐がありました。

神宮寺を見学した後、

急ぎ自転車で明通寺に向かいましたが、

途中「 鯖街道・根来坂 」という

擁壁に書かれた文字を見つけて、

もしかしたら道を

間違っているかもしれないと思いました。

なぜなら距離的にずいぶん走っているはずなのに

いつまでたっても神宮寺に

着かなかったからです。

あわてて引き返し神宮寺を探しに行きました。

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若狭神宮寺本堂・・・。

若狭神宮寺は奈良の二月堂への

お水送りの寺として有名だとのことです。

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本堂は重要文化財に指定されています。

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内部空間はすがすがしく

こころがすっきりする空間でした。

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鯖街道・根来坂は

鯖街道の支線に位置する道だと思います。

鯖街道は、小浜から京都へ続く街道です。

(地図上の赤黄色の道)

福井県内の国宝建造物は、

明通寺本堂と明通寺三重塔の二棟のみです。

余談ですが福井県の形は東西に長く、

中央の敦賀湾で切れてしまいそうです。

おそらく文化もちがうことでしょう。

実測調査する民家は、

福井県の東側の福井市から大野市にむかう

途中の山村にあります・・・。

※ ※ ※

地図上の赤い丸は国宝建造物を示します。

滋賀県はいかに国宝建造物が多いか

これでわかります。



※ ※ ※


地図の作図は日影良孝。

地図を見るのが好きです。

一日中地図を見ていてもあきません。

ただし本の地図のみ・・・。

インターネットの地図は

ほとんどみることはありません・・・。
なぜか紙の地図でないと
実感がわかないのと、
地形を想像する
わくわく感がないのです・・・。


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by y-hikage | 2017-09-15 13:28 | 建築巡礼 | Comments(0)

国立近代美術館の建築

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谷口吉郎の建築は栗の実の味がいたします。

素朴そうにみえて

しっかりとした深い色あいと味があります。

それはまるい感じだけれど、

その実はかちっとしている。

色も線の構成も・・・。

そして食べてみるとやさしくておいしい・・・。

東京の竹橋にある国立近代美術館は

そんな建築な感じがいたします。

谷口吉郎の建築から受ける印象は

一貫してこんな感じです。

だからなのかなぜか好きです。

忘れるほど昔行った

国立近代美術館は

はいってすぐに大きな吹抜けと

それはそれは大きな階段がありました。

なんてぜいたくな空間なんだろうと、

そのおおらかさに感動し

その空間体験は身体から離れません。

その後に、

いつしか行ってみたら

そのおおらかな階段はなくなっていました。

吹抜けが床になり、

鉄骨のシャープな階段や

レストランや売店が増築されて・・・。

先日に、「日本の家」展に行って

はじめて気がついたのですが、

トイレの前のトラバーチンの壁に

書かれた文字を見て納得がいきました。

まろやかな空間に

鉄骨のシャープなデザインが

張り付いている理由が・・・。

違和感なく美しく・・・。

増改築の設計は坂倉建築研究所によるもの。

鎌倉の近代美術館を

設計した事務所といえば

わかりやすいと思います・・・。

♡ ♡ ♡ ♡

ところで美術館には

「建物を思う部屋」があります。

その入り口に改修前の

吹抜けの写真が飾ってありました。

その写真の空間はやはりおおらかでした。



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おおきな階段

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増改築前の写真です。

外に庭に

赤とグレーのシャープな塔が立っています。

この作品は当初からのもので

イサム・ノグチの作品。

谷口を好きな理由に

イサム・ノグチとの協働による

作品が多いことが理由のひとつ・・

なのかと思います。



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「 建物を思う部屋 」

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by y-hikage | 2017-08-04 16:10 | 建築巡礼 | Comments(0)

「 日本の家 」展の中の「 斎藤助教授の家 」


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国立近代美術館で開催されている

「日本の家」展には、清家清が設計した

「 斎藤助教授の家(1952年) 」の

実物大の模型が展示されています。

その実物大の家を見て、

思っていたよりも意外と大きいと思いました。

想像していたよりも

1割り増しぐらいの大きさ・・・。

実物大の斎藤助教授の家の室内を

十分に身体に覚えこませてから、

製図室にある図面を見直してみました。

平面図と断面図を拡大縮小コピーして

切り張り着彩しながら・・・


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斎藤助教授の家の設計データ



〇軒高:GL2984

〇床高:GL454

〇屋根勾配:2寸勾配

〇軒の出:1060

〇梁間方向:4尺モデュール

〇桁行方向:おそらく3尺モデュール

〇南側テラスからの床までの高さ:+約200

〇天井高:2363

〇客間の内法高さ:1727

〇鴨居厚:45

〇丸柱:ヒノキ直径121


僕は天井の高さは、

2100㎜から2150㎜ぐらいだと思っていたので、

ここでスケール感の思い違いが

起こったことがわかりました。


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実物大の家に置かれている

チェストと障子は

実際の家で使われている本物とのこと・・・。

移動畳と椅子はレプリカ。

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昔、日影アトリエで作った

斎藤助教授の家の縮尺100分の1の模型

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by y-hikage | 2017-08-01 11:30 | 建築巡礼 | Comments(0)

「 日本の家 」展に行きました。


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先週の金曜日の午後、

みたかの家でのメンテナンスがあったので、

その日の午前中に

東京国立近代美術館で開催されている

「 日本の家 」展に行きました。

34組の建築家の作品が展示されていて、

多種多様な、

1945年以降の建築と暮らしの様子を

ゆっくりと見ることができました。

今年の4月から6月まで

パナソニックミュージアムで開催されていた

「 日本、家の列島 」を見たときも

同じことを感じたのですが、

特に現在に近づくにつれ、

家のつくりかた・デザインの

方法が多様すぎて、

ちょうどいい解釈の言葉がみつかりません。

( 多種多様なことは否定されません。

むしろ住み手や建築家の多様性に 

とても興味があります・・)


そこで僕はこんなふうな気持ちで

多種多様な作品に

接してみようと考えました・・・。

「 僕が住みたいと思う家はどれだろう・・・」


展示は、入ってすぐの作品・・・

吉村順三、アントニン・レーモンド、

吉阪隆正、阿部勤などは

撮影禁止だったのですが、

他は撮影が自由でした。

( 吉村順三の展示は、

軽井沢の山荘の軸組模型と

吉村順三のスケッチの原画 )


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はたして「僕が住みたい家」はどれか???


1番目は、軽井沢の山荘:吉村順三

2番目は、白の家:篠原一男

3番目は、斎藤助教授の家:清家清

4番目は、最小限住居:増沢恂

5番目は、丹下健三自邸:丹下健三

前川國男も作品リストにあるのですが、

どの作品か忘れました。

もしその作品が

前川國男自邸であれば

住んでみたい家の中に確実に入ります。

これらの家のどれもが近代建築に属します。

もうひとつ共通な点は、

「 屋根があることです 」

勾配があって軒が出ている

(最小限住居は

妻面が出ていないのが気になりますが・・・)

やはり屋根があることは、

日本の気候風土を考えると

大切なことではないかと思う僕は

古い人間なのでしょうか・・・。

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白の家:篠原一男

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白の家:篠原一男

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白の家:篠原一男

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SH-1:広瀬鎌二

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スカイハウス:菊竹清訓


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スカイハウス:菊竹清訓

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スカイハウス:菊竹清訓

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スカイハウス:菊竹清訓

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私の家:清家清

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斎藤助教授の家:清家清

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余談ですが、

建築に限らず展覧会の会場に入ると

必ずと言っていいほどに、

「 撮影禁止!! 」と書かれています。

国宝建造物の中も

「 撮影禁止!! 」が多いように思います。

今回の東京国立近代美術館の企画展示は、

基本的に「 撮影可!! 」でした。

とても嬉しい気持ちになりました。

そして「 撮影可!! 」は

今回の企画展に限りませんでした。

例えば所蔵作品の

藤田嗣治の絵もパブロ・ピカソの絵も・・・

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藤田嗣治:五人の裸婦

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藤田嗣治:少女

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パブロ・ピカソ:

マックス・ジョコブ著

「聖マトレル」より長椅子のレオニー譲


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by y-hikage | 2017-07-31 12:41 | 建築巡礼 | Comments(0)

鎌倉の大屋根を、ようびの大島さんに見ていただきました。

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岡山県西粟倉村で家具をつくっている

「 ようび 」の大島正幸さんとあったのは、

先月の615日のことでした。

それはとある会で鳥取県智頭町の

「サカモト」の坂本社長からの紹介でした。

大島さんといろいろと話しているうちに、

木の好き方(すきかた)が

なんとなく似ているような気がしてきました。

近日中に大島さんがなにかの用事があって

鎌倉に来ることがあると聞き、

28年前に竣工した僕の処女作

「 鎌倉の大屋根 」を

見ていただくことになりました。

78日の土曜日の午前10時に

鎌倉の江ノ電側の改札で待ち合わせをして、

木のことや建築のことなど話しながら

鎌倉の大屋根にむかって歩きました。

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家に着いてから

建主さんと大島さんと三人で、

食卓を囲みながら

大島さんが

西粟倉村でつくっている家具のことや、

西粟倉村や隣町の智頭町のことや、

大島さんたちが西粟倉村で現在進めている

「ツギテプロジェクト」の話などで

大いに盛り上がり、

西粟倉村には温泉もあるし、

来年にはぜひみんなで行こう・・・!

という話になりました。

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主屋である「鎌倉の大屋根」や

11年前に完成した離れの書庫

「宝蓮寺文庫」の中を

大島さんと二人で

歩いたり立ち止まったりしながら、

やはり木のことや建築のことをはなしながら

「 そうだよね・・・! そうだよね・・・! 」

といろいろなことに

共感し共有できたように思いました。

その感じは綺麗な光がそそぐ

森の中を歩いているようでした。

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鎌倉の大屋根の見学を終えて、

日影アトリエがある北鎌倉駅から徒歩5分ほどの

「 蜂の木 」というお店で昼ご飯を食べてから

日影アトリエの製図室に来ていただきました。

大島さんが本棚の中の

建築家ルイス・カーンに反応していたことが

とても印象に残りました。

僕もルイス・カーンがとても好きなので・・・。

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ところで628日から711日まで、

伊勢丹新宿店でようびの

家具展示会がおこなわれていることを

大島さんから聞いていました。

大島さんと木のことや建築のことを話しているうちに

とても楽しくなったので

翌日の79日の日曜日の午後に

展示会に行ってみることにしました。

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展示会のタイトルは「 縁起良し 」。

大漁旗をクッションの生地にした

賑やかで縁起良くとてもモダンな

ホタルスツールが置かれたり、

タイとカツオのモビールが吊るされたり、

ヒノキの筆箱が置かれたり、

ボンテーブルが置かれたりして、

伊勢丹5階の会場が

まさにお祭り気分になっていました。

( どれもほしいものばかりでしたが、

ヒノキの筆箱を購入しました・・・)

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伊勢丹の展示空間

賑やかでお祭りのようです。

手前に置かれているのがホタルスツール。

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「ようび」の家具は、

西粟倉村の森で育ったヒノキでつくられています。

大島さんが西粟倉村の森を訪れたのは

20091月のこと・・・。

この森のことを好きになってしまった大島さんは、

この森で育ったヒノキで家具をつくることで、

50年先の

美しい森の風景をつくることを決意します。

ようびの代表的な作品である

ヒノキでつくられた

ウィンザーチェアは

世界の中でもここだけ・・・。

大島さんがつくっては壊し、

つくっては壊しながら、

2年間の試行錯誤を経て完成させたもの。

軽くて美しい・・・。

世界的にも評価されています。

ホタルスツールも同様に、

シンプルで美しい椅子です。

美しいだけではなくとても座り心地がいい。


大島さんに初めてあったとき

作家の井上ひさしさんの言葉が

好きだと言いました。


「 むずかしいことをやさしく。

やさしいことをふかく。

ふかいことをおもしろく。 」


そして僕はこう思いました。

大島さんがつくった家具は、

さりげなくて美しく、

ほかではまねできない高度な技術が

ひっそりと隠されている。

そしてなによりも木が主張していない。

木が椅子に生まれかわって

すやすやと眠っているようだ・・・。

そしてまた僕は建築家ルイス・カーンの

この言葉を思い出しました。


「 私はつねに始原、始まりを探し求める。

まず第一に生まれる感情は美に対するものである

・・・美しいことでも、

またきわめて美しいということでもない・・・、

ただ単純に美そのそのものについてである。

それは完全な調和の瞬間とも、

またその香気とも言えるものである・・・ 」


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ここに、

ようびがつくった筆箱があります。

なにげなく見ると

普通の木の箱のように見えますが、

実は一本の木を彫り出してつくられています。

しかも平面のかたちに工夫があって、

箱をさかさにしても落ちません。

一本一本の木を見ながら

彫り出して箱をつくる・・・。

僕はこの美的執念に驚異さえ感じました。

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大島さんが見る未来は

すごく大きいものではないかと

僕は今、感じています。

人と人をつなぎ、

未来と過去をつなぐ

希望の世界が

森を背にして

広がっていくようにみえてきます。

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タイのモビールを製図室に飾りました。

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伊勢丹で大島さんと記念撮影。


「 ツギテプロジェクト 」

の現場に行ってみたいです・・・!


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ようびのホームページ








by y-hikage | 2017-07-26 12:08 | 建築巡礼 | Comments(0)