2001年に竣工した築17年の「チャイハウス」は、
今年にはいってメンテナンスを含めた
ちいさな改修工事を行いました。
・ 内壁の塗装 、
・ 食器棚の設置 、
・ デッキの金属部の塗装 、
・ デッキ材の一部交換と塗装 、
・ 2階南側の引き違いはき出し窓を
両開き戸に変更 、
・ 食卓上の照明器具の新設などなど・・・。
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「チャイハウス」が完成してから
もう17年の経つとは・・・、
時の流れのはやさに驚きます・・・。
18年ぐらい前に建主の内山さんから
世田谷に土地を買ったから
見てほしいという電話があって、
すぐに見に行きました。
古くからの友人である内山さんが
「 かわいい家をつくってね! 」と
僕にリクエストをしました。
「 かわいい家・・・? 」
それまでの僕は「 かわいい家 」を
設計したことがありませんでした。
どちらかというと
日本的な伝統木造住宅が主でした。
1989年に竣工した僕の処女作
「 鎌倉の大屋根 」は民家の移築再生だったので、
その延長上が僕の設計手法でした。
そして
内山さん夫婦との最初の設計打合せの日・・・。
設計の参考にと内山さんが持参した本は、
吉村順三の2冊の作品集でした。
「 こんな家がいい・・・ 」
僕はそれまで
吉村順三の存在は知ってはいたものの
意識したことはほとんどありませんでした。
この打合せの日が
本当の意味での
「 吉村順三との出会い 」でした。
・気持ちいい空間を
・重心のある空間を
・狭い家のなかで広い空間をとる
・エレベーションは最後に
・天井は低く押えて
・ディテールに安易によりかかるな
・住宅の質は設備の良し悪しできまる
・少ない材料で豊かな空間を
・自分の好きなコーズィーコーナーをつくる
・家中のみんなが使いたくなるような台所を
・一鉢の植物でも
・デザインのスタートは人間をどうとらえるか
・10年後を考えて
・住まいは住む人の人格まで変える
・よい建築をつくる純粋さと誠実さ
・イマジネーションをもって
・自然と伝統の中から学ぶ
・住宅設計は自分がそこで生活するつもりで
これらの吉村順三の言葉をたよりに、
吉村順三の空間のありようを
チャイハウスの設計をしながら学びました。
それまでの僕の設計の考え方を
簡単に書くとこうです・・・。
〇 美しい間取りと架構から生まれる
凛とした伸びやかな空間。
〇 風景やまちなみに調和する美しい屋根。
〇 住み継ぐ家・住み継げる家。
これらそれまでの概念を
吉村順三が生み出す空間と
「和える(あえる)」ことはできないかと・・・。
柱や梁が見えない空間であってもいいはずだ。
なぜなら伝統的な民家や町家や店蔵などの
すべての事例が横架材である梁が
見えているわけではないし、
美しく優れた建築ほど、
美しいプロポーションと架構が
隠されている場合も少なくない。
美しい建築は
美しい骨格によって成り立っていて、
その骨格は
筋肉や皮膚や服装によって覆われている。
さながら体内を行き交う循環器は
設備ではないかと・・・。
こんなようなことを考えながら
「チャイハウス」の設計をまとめていきました。
長い付き合いである友人の内山さんの
好みを多少知っていたこともあって、
基本設計が完了するまで
さほど時間がかかりませんでした。
自分で言うのもなんですが
「かわいい家」ができあがったと
完成した時に思いました。
今から17年前のことです・・・。
「 チャイハウス 」が
「 チルチンびと 」の
2002年夏号に掲載されました。
「 チャイハウス 」のデッキが表紙を飾り、
いろんな意味で
僕の節目となる仕事となりました。
吉村順三の作品集
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チャイハウスが掲載された
「チルチンびと」2002年夏号
次回の
チャイハウス・その2に続く・・・。