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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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日本の建築ドローイング展に行きました。

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とある1月の週末、

国立近現代建築資料館で開催されている

「 日本の建築ドローイング 」展

に行きました。

この展覧会は日本における著名な建築家の

図面を展示するという

シンプルな企画展でした。

著名な建築家の大半の図面は、

いわゆる見せる図面(ショードローイング)で、

実用的な図面は多くありませんでした。

その中で衝撃を受けた図面がありました。

建築家・高松伸の実施設計図です。

高松伸の作品は、

あまりに禁欲的かつ過剰な造形で

近づきにくい存在でした。今でも・・・。

しかしながら高松伸の図面の

神がかった線は常識を超えていました。

高松伸が描く線は、

鉛筆の線ではなく

細い針金で削ったような硬質な線だったのです。

残念ながらここでは、

高松伸が描く実施設計図は紹介できませんが、

展示パネルにはこう書かれていました。


〇 〇 〇  〇 〇〇


高松伸は空間よりもフォルムが重要であったといいます。

そして高松伸にとって鉛筆によって描くという行為はフォルムがもつ属性・・・強度、密度、濃度、温度、湿度・・・を建築がひきうけていくプロセスを確認する行為です。


〇 〇 〇  〇 〇〇

そしてまた、

今回の展示で無料配布されていた図録には

このように書かれていました。


〇 〇 〇  〇 〇〇


高松伸は「 過剰な視線と過剰な作業が、建築における過剰性を保証する 」と述べる。

彼のドローイングの独自性は、精密な製図と、多彩な素材表現、そして濃密な陰影からなる「過剰性」をペンシルワークという硬質でストイックな技法のうちに極限までに凝縮したことにある。


〇 〇 〇  〇 〇〇


展示空間には図面のほかに

建築家のオーラルヒストリーの

ビデオ映像が流れていて、

高松伸は、

いままで僕が聞いたこともないような

図面を描く姿勢を語っていました。

その言葉をそのまま引用してみます。


〇 〇 〇  〇 〇〇


ペンシルワークというスタイルについて・・・

鉛筆というのは不思議なデバイスで、削りますよね。

その道具を削るという行為が僕にとって非常に重要で、その間に様々な思考が凝縮するというのが僕のスタイルなんですね。だから、鉛筆を削りながら、削り終わって描くときにはある程度のものが見えているんです。

で、それをまた描く。また、それが壊れて、鉛筆を削って描くと。だから、鉛筆に助けられて建築をデザインしているようなものです。今でもそうですけどね。

鉛筆を削るという運動も僕にとっては非常に重要で、それと身体と時間と思考が常に連動していると。

やっぱり彫刻に近いのかな。ノミで彫っていく感じに近いですね。

大体 9 H とか 8 H ぐらいから始めて、彫るべきところに硬い鉛筆を集中していく。それぞれの強度、使う鉛筆の強さによって変えていくという。

何枚も何枚も描いて身につけたものですけども、そこに建築というものを刻印していく。だから、鉛筆というのは木を彫るノミのようなものかもしれない。


身体がどう感応するかということがものすごく重要ですね。乗ってくると、どこまでが身体で、どこまでが鉛筆で、どこまでが紙かわからない。

( 以上、
解説文とオーラルヒストリーからの引用 )


〇 〇 〇  〇 〇〇


9 H とか 8 H の鉛筆・・・?

見たこともありません・・・。

果たしてこのような硬い鉛筆で

図面を書けるものか・・・。

国立近現代建築資料館をでて、

文房具屋さんをみつけ

 H と 8 H の鉛筆を買ってみました。

そして製図室で書きかけの図面に

9 H と 8 H の鉛筆で

線を書いてみました。

やはりそれは鉛筆の芯ではなく、

針金のように硬く、

もはや黒い線ではなく、

トレーシングペーパーを削っていく

透明な傷にしかなりませんでした。



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無料配布されていた

「 日本の建築ドローイング 」の図録


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9 H と 8 H の鉛筆で線を書いてみましたが、

黒い線は書けず、

描かれたのは透明な傷・・・。

下の格子の線は、

B の硬さの 0.3 ㎜ のシャープペンシルの芯。


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by y-hikage | 2018-02-09 13:17 | 建築巡礼 | Comments(0)
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