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日日日影新聞 (nichi nichi hikage shinbun)

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吉阪隆正設計の三澤邸・その2

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建築史家の藤森照信氏が連載している

TOTO通信の「 現代住宅併走 」の

32回目は、

建築家・吉阪隆正の設計の

「 三澤邸 」でした。

この記事を読み、

三澤邸は神奈川県三浦郡葉山町に

建っていることをはじめて知りました。

吉阪隆正は、ル・コルビジェの弟子。

早稲田大学教授でもあり、

U研究室のリーダーでもありました。

吉阪隆正は1917年に生まれ、

1980年、63歳の若さで病没しました。

葉山の三澤邸は、

1975年に着工し10年後の1985年に

現在の姿となった住宅です。

すなわち三澤邸は

吉阪隆正の遺作となる作品です。

建主の三澤氏は、

葉山のこの土地を

衝動買いのように購入したあと、

設計を吉阪隆正に

いっさい任せたとのことです。

着工後は、U研究室のメンバーが、

現場でキャンプをしながら

設計監理と自力工事をしながら、

10年かけて現在の姿にしていったそうです。

三澤氏に聞いたところ、

このメンバーの中には、

象設計集団の

富田玲子さんなども含まれていたそうです。

〇〇〇 〇〇     〇

三澤邸は、南側に葉山の山並みがせまり、

遠く西側に富士山を見ることができます。

初めておとずれた吉阪隆正は、

ひとめ見てこの地を惚れ込み、

設計当初は建物を全部、

土の中に埋めてしまおう

という構想もあったと聞きました。

写真で見る三澤邸は、

変わったかたちをした住宅だなあ・・・

と感じたのですが、

一目見た瞬間、

そのあまりのキュートさに

好きになってしまいました。



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1階平面図


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2階平面図


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3階平面図

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断面図は

ディール掲載の図面をトレースしたもの。

平面図は

TOTO通信掲載の図面を赤ペンでなぞったもの。

見学後になるべく図面を

手書きで復習するようにつとめています。

〇〇〇 〇〇     〇


平面は当時としては

珍しく分棟型としています。

藤森照信氏の言う

「分離派住宅」の先駆けとなる住宅です。


〇〇〇


1階平面図を見ると、

中央のピロティ(屋外)を中心に、

四角い客室と

台形をした子供室と

丸いかたちをした書庫に

分かれています。


〇〇〇


ピロティ―の上の2階は、

テラスを囲むように四角い食堂、

台形の居間、

丸い書庫の上の書斎に分かれています。

玄関はなく、

それぞれテラスから入るようになっています。


〇〇〇


食堂の上の3階は

寝室と浴室としています。

(完成当時は食堂の階と寝室の階以外は土足)


〇〇〇


丸いかたちをした書斎は、

タラップによってしか

入ることができないようになっていて、

なんと使いにくい

計画なのだろうと思いましたが、

タラップを降りたその空間は、

居心地がよく、

まわりと隔絶した別世界のようでした。




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食堂棟の南側は、


放物線を描くように、

上にいくにつれせり出していきます。

この曲線の具合が、

屋根の庇の役目をはたし、

太陽の光をうまく調整してくれると

三澤氏が話してくれました。



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食堂と寝室の窓


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居間の入り口


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3階の窓から、

テラスを見おろします。

左が居間。

右側の丸い形をしたのが書斎。


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書斎の扉の詳細。


この扉を開けると、

書斎におりるタラップが現れます。


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まさにU研究室らしい、

手すりのデザイン。

三澤邸では、ところどころに

鉄骨で製作した部分があります。

これらはすべて

造船所に作らせたものと聞きました。


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見学の途中、

三澤氏が完成当時の

白黒写真を見せてくれました。

それらの写真を撮影しました。

この写真は居間の南側展開。


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居間と台所


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居間と台所


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1階の客室


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客室から階段室に抜ける扉


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寝室の南側の斜めの窓。

上部はガラスのFIXとしており、

その下側が内倒しの窓になっています。


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正面左に見える円筒形の物体は浴室の扉。


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円筒形の物体をくるっと回すと

バスタオルなどを収納できるような仕組み。


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円筒形の物体と床は桜の木。


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3階の浴室


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丸い形をした書斎を見おろします。


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右手前に見える鉄骨の棒が、

書斎におりるタラップ。


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タラップは、

床を半円にくりぬき、

1階の書庫へとおりていきます。


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書斎の大きな机から葉山の山並みを眺めます。

すばらしい眺めです。

そしてなんとも居心地のいい空間。

この書斎をそのまま欲しくなりました・・・。


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書斎の天井は、

断熱材のスタイロフォーム張り。

けして壊れた天井ではありません・・・。

照明器具は当初のまま。



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1階から3階まであがっていく階段室。

90㎜角の木を

鉄骨の丸鋼に固定して手すりとしています。

ただのデザインだと思ったのですが、

木の上の小口に

手のひらをのせながら階段を上ると

気持ちがいいことがわかりました。

すべてを考えつくしています・・・。


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1階の子供室の入り口。

両開きの扉をしめると、

白い壁のように見えます。

ドアノブがないことが

不思議だと思っていたのですが、

扉の下の小さな丸い穴に指を入れて

開閉させる仕組みだとわかりました。


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扉の敷居まわりの詳細。

床は耐火レンガ敷きで当初のまま。


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2階の居間の開口部の詳細


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今回の見学会は、

JIA日本建築家協会関東甲信越支部

住宅再生部会の大沢悟郎さんから

誘われて実現しました。

〇〇〇 〇〇     〇

三澤邸は、

理屈抜きで素晴らしい建築だと思いました。

吉阪隆正の代表作である、

八王子大学セミナーハウスは、

「 手の痕跡 」が強く表に出ていて、

それはそれですごいと思うのですが、

三澤邸は、

「 手の痕跡 」が

上手に建築の中に染み込んでいて

優しい建築になっていました。

三つの分棟の間合いもスケール感もよく、

「 包まれ感 」が気持ちいい建築でした。



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思えば、実物を見たことがある

吉阪隆正の作品は、かなり少ないことがわかりました。


「 八王子大学セミナーハウス 」



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学生の頃に、

吉阪夫人にあげてもらった「 吉阪隆正自邸 」



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学生時代に探し当てた「 ビィラ・クック 」

そのほかに写真にはないのですが、

「 アテネフランセ 」


ぐらいでしょうか・・・。





吉阪隆正の言葉⇒





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by y-hikage | 2017-12-14 11:55 | 建築巡礼 | Comments(0)
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