金閣寺と銀閣寺
1月の末に京都の国宝建造物のひとつ
慈照寺銀閣を見たあと、
金閣を見てみたい衝動にかられて、
すぐに金閣に向かいました。
金閣は高校の修学旅行で
見学したときから見ていないので、
国宝建造物ではないのですが、
銀閣と比較してみたいと思ったのです。
かつてブルーノタウトが桂離宮を高く評価し、
日光東照宮を酷評したように、
現代の建築の眼は、
どちらかというと装飾に否定的です。
僕も桂離宮のモダンデザインに
通じる美しさは十分に認めますし、
日本建築の中でも好きな建築のひとつです。
かといって装飾過多に見える
日光東照宮を否定する気持ちにはなれません。
日光東照宮を見ると、
彩色や彫刻に目を奪われてしまいますが、
自分の心の中で
彩色や彫刻をはがしてみると、
美しい木割りや矩計りが
存在することがわかります。
とても短期間で設計し
工事をおこなったとは思えないほど、
設計力の高さに驚くのです。
鹿苑寺金閣(ろくおんじきんかく)の場合も
同様に金ぴかのピカピカな印象が
前面に出てきます。
金閣を心の中で金箔をはがしてみて
冷静に見つめなおしてみたいと考えました。
37年ぶりに見た鹿苑寺金閣は、
この世と思えないぐらいに
圧倒的な美しさを放っていました。
周到に計算された全体のバランス。
屋根まわりの美しさ。
極限まで見えがかり部材の量を
減らした緊張感。
金箔を張ることを前提に
設計したと思いますが、
銀閣のどこかむっくりとした感じにくらべ
建築がシャープです。
金閣は三層(三階建て)の楼閣建築です。
一層目は白木づくりとして、
二層目と三層目を
全面金箔張りとしています。
この一層目を白木づくりとしたところが
究極なコンセプトで、
まるで建築が浮遊しているかのように
演出しています。
その演出を池の水面に映っている
二層目と三層目の金色が
浮遊感の効果を高めています。
鹿苑寺金閣は、
足利義満が舎利殿として
応年五年(1398年)に建築したものです。
下の二層は和洋住宅風であるのに対し
三層目は禅宗様仏堂に造られた
混合様式としています。
一方、国宝建造物:慈照寺銀閣は、
足利義政によって長享三年(1489年)ごろに
建築されたものです。
下層は書院造仏堂風に、
上層は禅宗様仏堂風に造られています。
金閣は、もともと国宝建造物でしたが、
昭和25年(1950年)に
放火によって消失したため、
国宝指定を解除されてしまいました。
現在の姿は、
昭和30年(1955年)に再建されたものです。
余談ですが、
金閣の雨といはとても個性的です。
屋根と建物を守るためと
タテといを設けたくないために、
超!跳ねだしの雨といにしています。
金色の「超!跳ねだし雨とい」に驚きました・・・。
by y-hikage
| 2017-02-27 12:36
| 国宝建造物
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